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ドコモ市民活動団体助成事業

公募による市民活動団体への活動資金の助成事業

Activity Report

『NPO法人 九州バイオマスフォーラム』様熊本県 / 助成金額:500,000円

目録贈呈の様子

活動名

阿蘇市における民間の災害ボランティアセンターとしての阿蘇市災害ボランティア連絡会議の運営

概要

阿蘇市においては、熊本地震発生によって89棟の家屋が全壊し、286棟の家屋が半壊以上、被害を受けた家屋は一部損壊を含めると1000棟以上となりました。また、観光名所の一つである阿蘇神社の楼門も倒壊し、阿蘇火口への登山道や国道も崩落したことから、観光や産業に大きな被害が継続して発生しています。
当団体は、地震直後から支援物資の配布や支援団体と地元のニーズをマッチングするコーディネートを行ってきましたが、各団体の活動と地元自治体・社協との連携が必要であることを認識したため、当団体で各団体・関係者に呼び掛け、週に1回のペースで連絡会議を開催することとしました。その結果、各団体の得意分野を生かすことができ、地元のニーズに対して連携して取り組むことができるように、また、阿蘇の主要産業の一つである観光業の復興策として、ボランティアツーリズムにも取り組んでいきます。

終了報告
連絡会議の様子

終了報告

201710/27

特定非営利活動法人九州バイオマスフォーラム 活動報告

[活動の概要]

その結果、各団体の得意分野を生かすことができ、地元のニーズに対して連携して取り組むことができるようになった。また、阿蘇の主要産業の一つである観光業の復興策として、ボランティアツーリズムにも取り組んだ。

1.連絡会議の開催(全体会)

阿蘇市社会福祉協議会が、4月末から災害ボランティアセンターを開設したが、5月初旬にはニーズがないとして閉鎖した。当団体は、地震直後から支援物資の配布や支援団体と地元のニーズをマッチングするコーディネートを行ってきたが、各団体の活動と地元自治体・社協との連携が必要であることを認識したため、当団体で各団体・関係者に呼び掛け、週に1回のペースで阿蘇市災害ボランティア連絡会議を開催してきた。8月以降は2週間に1回程度のペースで開催し、各部会・各団体の活動報告、課題の検討、関係者の役割分担等を進めてきた。必要に応じて、市役所の関係各所にご出席いただいて、重点課題の解決について協議を行ってきた。

・2016年7月までは週1回、8月以降は月1~2回の頻度で連絡会議を開催。

・2017年3月までに計28回の会議を開催。

・活動を開始した5月から8月までは、ボランティア団体が多かったため、会議の参加人数は20人~30人であったが、緊急支援のステージが終わると、多くの団体が撤退し、会議の参加人数は8-15人程度となった。

・会議の開催場所は、主に阿蘇市社会福祉協議会の会議室を利用させていただいた。市役所との連携が必要な場合は、市役所の会議室をお借りした。

  • 連絡会議の様子

2.部会の開催

連絡会議の構成団体の活動内容に応じて、以下の3つの部会ごとに役割分担を行った。また必要に応じて部会ごとに会議を開催し、情報共有と役割分担を密に行うことで、被災者や地域のニーズに合わせた支援を行った。

①解体撤去部会

公費解体できない家屋の解体支援や、倒壊した家屋からの思い出品の救出、引越の支援、一人暮らしのお年寄りの片付けの支援などを個なった。撤去したがれきについては、阿蘇市に公費解体と同様に、無償で引き受けていただいた。

10月以降の活動としては、解体撤去を行う団体の後方支援として、重機やトラックの燃料補給や、解体に来たボランティアの雨天時の活動受け入れ先の確保等を行った。

  • 一の宮神社の解体
  • 政教分離で公費解体ができないため、ボランティアで解体

②被災者支援部会

仮設住宅の入居者のための生活支援、心のケア、コミュニティーづくりなどの支援を、関係団体が役割分担を進めながら取り組んだ。生活支援としては、支援物資や食器の配布などを行った。心のケアとしては、音楽イベントやクリスマスプレゼントなどの配布と、サロンの開催を行った。

仮設住宅のみんなの家で、プレゼント配布とお茶を飲んで語りあうサロンもできた。

これまで支援員がなかなか話せなかった仮設住宅の入居者の方と話ができたと報告があった。

  • 仮設住宅のみんなの家で、食器配布の様子
  • 海外からのボランティアも参加
  • 自主避難所に支援物資を配布
  • 自主避難所に支援物資を配布
  • 仮設住宅にクリスマスプレゼントの配布
  • 仮設住宅にクリスマスプレゼントの配布

③農林業支援部会

地震によって破損した水路の修復や、遅れた農作業の支援、人手不足による労働力不足などを、県外からこられたボランティアの方で支援を行った。また、10月8日に起こった阿蘇中岳火口の噴火による噴石や火山灰の除去などを、ボランティアの協力により実施した。

  • 火山灰の被害を受けたハウス
  • 終了報告の写真2

3.ボランティアツーリズムの推進

観光業は、阿蘇地域にとって基幹産業の一つである。ボランティアの募集と観光業の復興を両立させるボランティアツーリズムを推進することで、観光業の復興にも貢献するため、断層などを案内する復興ツアーを開催した。また、阿蘇に支援に来ていただいたボランティアの方に、地震の被害について学んでいただいたり、支援先のイチゴハウスでいちご狩りを楽しんでもらうなどの観光復興と支援活動を結び付けたボランティアツーリズムを推進した。

  • 断層ツアー 
  • いちご狩りツアー

4.行政・社協・他団体との連携

熊本地震から1年の節目と、これまで阿蘇市内で活動してきた団体の活動報告の場として、2017年4月1日に阿蘇復興シンポジウムを開催した。シンポジウムには、熊本県の小野副知事、阿蘇市役所の吉良経済部長、阿蘇市社会福祉協議会の藤崎事務局長にもパネリストや開会のあいさつなどでご協力いただき、今後の復興支援活動への協力体制の維持のための場づくりとして、開催することができた。

  • シンポジウムの様子
  • シンポジウムの様子

<評価>

・阿蘇市災害ボランティア連絡会議の活動は、熊本県内の中でも、団体間の情報共有・役割分担の方法として、成功事例として評価いただいた。(KVOADなど)

・解体がれきの受入れや、ボランティアの高速道路無料の手続きなど、この連絡会議の調整の場があることで、各団体が円滑に活動をできる場ができた。

・地震によって生じた断層を、ツアーという形でボランティアや観光客の方々に、地震から2か月という早い段階で提供できたというのは、あまり例がないのではないかと思われる。また、ボランティアの方々に、温泉を利用できるクーポンを配布したり、阿蘇を楽しんでもらって、また来てもらうという工夫をしたことで、リピーターとなってくれるボランティアの方々も多かった。

・ボランティアの中で、阿蘇に定住を始めた方が3人程度確認している。阿蘇は魅力ある地域であり、現時点ではほぼすべての業種で人手不足が発生しているので、復興につなげる意味でも、移住定住を促進できるような仕組みづくりをしていきたい。

<反省点>

・連絡会議の立場としては、活動している団体の黒子として活動するために、なかなか活動内容をPRできる場が少なかった。そのため、寄付金等の資金調達があまりうまくいかなかった。

・常に人材不足と資金不足が課題となりなっていたこともあり、広報や活動報告が遅れるという問題も生じた。

<課題>

・非営利活動において、こうした資金と人材不足が同時に発生した場合、どのように課題解決を図っていけばよいのか、いまだに答えが分からない。

・災害支援や復興支援活動において、活動の終了や撤退の方法については、活動開始の時点でシナリオを描いておくのが望ましいが、当団体を含め、もともと地元で災害支援とは別の活動を行ってきた団体にとっては、地域とのかかわりもあるため、急に活動をやめることが難しい側面もある。

・災害支援活動の始め方も大事であるが、どのように終わるのかということも、何らかのモデルケースとして、知見と蓄積し、団体間で共有できるとよいと思う。

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