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2018.04.13
ドコモ市民活動団体助成事業

2017年度ドコモ市民活動団体助成事業 中間報告会 開催報告

2018年3月2日(金)に山王パークタワーにて、2017年度ドコモ市民活動助成事業「中間報告会」を開催しました。

この報告会には、助成先45団体の代表のみなさまとモバイル・コミュニケーション・ファンド(以下、MCF)から、理事長・理事(11名)が参加しました。

最初に、2017年度の助成団体から代表して7団体による半年間の活動報告を行い、引き続き、参加団体の個々の活動をより良いものにしていただくために、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者の川北秀人氏から、代表7団体の発表に対する質疑応答・コメントとミニ講義を実施しました。

なお、当日の開催内容を以下のとおり報告しますので、ダイジェスト映像(約5分間)と併せてご覧ください。

  • 報告会の様子1
  • 報告会の様子2

代表7団体からの活動報告

団体名:NPO法人女のスペースながおか
活動名:DVや虐待家庭で育つ・育った子どもと親へのケアと支援 パートⅡ

  • NPO法人女のスペース・ながおか(荻野 茂子様)
  • 多くの関心を集めた小西聖子さんによる公開講座

私たちは、女性と子どもの人権を守るため、あらゆる暴力の根絶をめざし、女性の自立に向けた相談・支援及び啓発活動を行っている団体です。

現在、年間1,400件前後のドメスティック・バイオレンス(以下、DV)や、パートナー関係・家族についての相談を受けており、そのほとんどが女性で、子どもと一緒に相談に来るケースも多くなっています。これらの相談対応を行う中で、DVは子どもたちに重大な影響を及ぼしていることに気づかされました。

助成金では、3つの事業を実施しました。一つ目は、「DVや虐待家庭で育つ・育った子どもと親へのケアと支援 パートⅡ」と題して、「CARE(ケア)プログラム講座」及び「支援者フォローアップ講座」を開催し、子どもと母親への支援ができる相談員の養成講座を開催し、大変好評をいただいております。二つ目は、傷ついた親子のための「コンカレントプログラムフォローアップお楽しみ講座」を開催し、クリスマス・クッキングパーティーやアロマハーブ教室等を行いました。三つ目は、母親と大きくなった子どもへの個人カウンセリングを行い、母親5人、子ども2人に対してカウンセリングを行いました。父親からDV被害を受けた子どものなかには、「自分は結婚も子どもを持つことも考えられなかった。でも、カウンセリングのなかで、新たな環境や価値観を持つことにより、親とは違う新たな人生を切り拓くことができると分かった」などの言葉がありました。

今後も啓発講演会や支援者の養成講座を開催し、社会に対して子どもや女性に対する暴力や虐待を許さないというメッセージを発信します。

団体名:こおりやま日本語教室
活動名:外国にルーツを持つ子どものための高校進学ガイドブック作成とその普及

  • こおりやま日本語教室(三田 眞理子様)
  • 高校進学ガイダンス 先輩の体験談

私たちは、福島県郡山市で外国にルーツを持つ子どもたちに日本語を学ぶ場の提供と居場所づくりを行っている団体です。

福島県で生活する外国籍住民は全国平均1.9%に対して0.6%と非常に少ない地域で「外国人散在地域」と言われています。その状況は、文部科学省調査(※)によると、福島県全体で日本語指導が必要な子どもは59名という結果が出ているとおり、対象の子どもが少ないことにより、行政から支援を受けることが難しい状況です。

このような状況の中で、他県と同様に福島県にも、来日3年以内の中学生を対象に外国人生徒に対する特別受験制度がありますが、対象の子どもが少ないために支援体制が確立されていない状況です。

そこで、助成金を活用し、日本語を母語としない子どもの進学相談会に役立つ「高校進学ガイドブック」(英語、韓国語、ポルトガル語に翻訳、ルビ付き日本語併記版)を各400部作成しました。県内の中学校230校に配布することを目標としており、すでに日本語教室関係者も含めて350部配布しました。今年は、高校進学ガイダンス主催者交流会への参加や子どもの日本語教育研究会でポスター発表を行うなど、私たちの活動を発信する場が広がっています。今後は、他の団体との連携を図りながら本活動をさらに充実していきたいと思います。

(※)文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)」

団体名:NPO法人子育てネットひまわり
活動名:「子育て家庭とダブルケアを考える井戸端 Caféおいでまい」~子育て家庭の複合的な課題解決の場の提案~

  • NPO法人子育てネットひまわり(有澤 陽子様)
  • 全体交流

私たちは、香川県高松市を拠点として常設の子育てひろばの運営と利用者への相談業務を行っている団体です。

本活動を実施する中で、親の介護と子育てを平行して行う「ダブルケア」に直面する人や子育てに疲れ、心の不調に陥っている相談者が増えてきています。助成金では、こうした人たちの孤立を防ぐため、「井戸端Caféおいでまい」(以下、井戸端Café)を開き、当事者支援を行っています。

井戸端Caféでは、当事者の体験談や専門家からのアドバイスを受ける場を設け、解決策を見出す時間を提供することで、当事者同士のつながりの場をめざしています。また、相談業務で積みあげた行政などの様々な団体との繋がりを活用し、専門機関や保健センター等を巻き込みながら事業の周知を行うことで、私たちの事業が地域から必要とされる仕掛けづくりを行いました。参加者からは「経験者の話で具体的な手立てを知った」等の前向きなご意見をいただきました。今後は、企業の職場研修の場で開催することを目標としています。

団体名:NPO法人キドックス
活動名:引きこもりや不登校の子ども・若者と、その家族向けの余暇活動の充実 

  • NPO法人キドックス(上山 琴美様)
  • テントを貼ったときの様子

私たちは、茨城県土浦市を拠点に、保護犬を介した不登校や引きこもりの悩みを抱える子どもたちの支援を行っている団体です。

茨城県内の不登校や引きこもりの子どもは約20,000人で、私たちが活動する土浦・つくば周辺にも約2000~3000人の不登校の子どもたちがいると言われています。 また、茨城県は野良犬多発エリアであり、年間600匹位の殺処分が行われています。 当団体では、この殺処分となる犬と引きこもりの若者の自立支援を組み合わせた活動を実施しています。

助成金では、現在、当団体に通っている若者、そして、児童養護施設と通信制高校に通う引きこもりがちな子どもたちを対象に宿泊型の野外活動プログラムを実施しました。若者を対象としたプログラムでは、親子の対話をテーマとし、日々のストレス解消につながる野外活動を盛り込んだ宿泊型キャンプを開催しました。参加した親子は5家族(子ども4名、親1名)であり、事前にアンケートを配布して日頃の悩みや不安について記入してもらいました。当日はそれをもとに話し合いの場を設け、日頃の悩みを共有したことにより、参加者同士の交流が深まりました。実施後のアンケートでは「本音を話すきっかけとなった」等、満足度が高い評価を得た一方で、親子関係が良好ではない家族からは、「うちは(家族関係が)うまくいっているから、そんなのはいらないよ」という声もあり、親子での参加率が増えませんでした。今後は、参加する親との面談を事前に行う等、工夫が必要であると考えています。

また、児童養護施設と通信制高校に通う引きこもりがちな子どもたちに対して支援を行ってほしいという要望を受け、2018年夏に「保護犬キャンプ」を実施する予定です。

団体名:認定NPO法人D×P
活動名:定時制高校に通う高校生に「つながり」を届けるプロジェクト

  • 認定NPO法人D×P(入谷 佐知様)
  • 定時制高校の高校生と大人が関わり合う授業「クレッシェンド」の様子

私たちは、通信制高校と定時制高校に通う子どもたちのサポートを行っている団体です。

全国の定時制高校には、経済的理由から貧困状態にある高校生が一定数在籍しています。大阪府内の定時制高校では、1/3の生徒がひとり親家庭出身で、25%の生徒が生活保護受給家庭にいるとのことでした。さらに、全国の定時制高校1年次の中退率は21%であり、全日制高校の14倍となっています。このような状況から、困難を抱えた高校生が中学卒業程度の学力で社会に出ている現状があります。

当団体の事業「クレッシェンド」は、多様な大人との関わりを通じて高校生が人とのつながりをつくることを目的とした授業です。助成期間は「クレッシェンド」のさらなる質を高めるための充実強化をめざし、業務改善、人材育成、助け合える仕組みづくりに力を入れました。

業務改善では、社会教育学が専門である大学教授に協力を得て、ロジックモデルを活用した事業評価を行い、インパクト・アウトカム・アウトプット・インプットを再定義しました。私たちが事業で成したいことが、どのように成果につながるか因果関係を可視化し、スタッフ間で共有することが大事だと思っています。

団体名:NPO法人維新隊ユネスコクラブ
活動名:教育格差にココロで向き合う無料塾「ステップアップ塾」

  • NPO法人維新隊ユネスコクラブ(濵松 敏廣様)
  • 受験生にマンツーマンで指導に当たります

私たちは、2014年から、経済的な理由から有料塾に通えない小中学生を対象に「ステップアップ塾」を運営しています。対象となる子どもたちが家庭環境に関係なく、希望する進路を選ぶことができることを目的としています。

取り組みの特徴としては、食事を必ず出すこと、課外授業をすること、また、子どもたちのメンタルヘルスにもカリキュラムを充て、有識者による個別カウンセリングを無料で行っています。
今年は、84名の学生ボランティアが45名の小中学生を指導し、都立の3番手の高校に進学する生徒もいます。

助成金を教室の賃借料と学生ボランティアの交通費に充て、運営面の効率化と充実化を図りました。学生ボランティアは、継続的に参加することで交通費の負担が重くなるという矛盾が解消されたことにより、ボランティア活動参加者が定着するだけでなく、新たな参加者が増えました。課題としては、運営資金と安定的なボランティアスタッフの獲得、また、学習支援の場や、より多くの食事提供の場を創出することです。これらの取り組みを着実に実施し、今後は、全国展開を視野に入れた活動に挑戦したいと思います。

団体名:公益財団法人住吉隣保事業推進協会
活動名:みんなで作って食べよう!「寿こども料理食堂」

  • 公益財団法人住吉隣保事業推進協会(藤本 真帆様)
  • 寿こども料理食堂

私たちの団体は、大阪市住吉区を拠点として総合生活相談、就労支援、法律相談、生涯学習などのほか、経済的理由から有料塾に通うことができない小中学生を対象とした学習支援「住吉べんきょう会」を行っている団体です。

これまでの活動から、「住吉べんきょう会」に通う子どもたちの大半が、コンビニで購入したお弁当やパンで空腹を満たしており、偏った食生活を送っていることが分りました。

助成金では、「寿こども食堂」(開催時間:毎月第2.4火曜日夕方4時から7時半、利用料:中学生以下は無料、高校生以上は300円)を実施し、食への興味や様々な知識、自炊する力を身に着け、子どもの孤食を防ぐことを目的として、一緒に調理・食事をしています。また、調理した夕食のレシピを子どもたちに配布しており、これまで、子ども41人とボランティア22人が参加しました。また、ボランティア研修も行いました。研修には、栄養士の方に来ていただき、食のバランスと噛むことの大切さ、季節感を入れた食事について学びました。

成果としては、「寿こども食堂」を通し、子どもたちの調理技術や他者とのコミュニケーション力がアップ、子どもたちとの会話から家庭の状況が少しずつ見えて来たこと、子どもたちの好き嫌い克服、などがあります。「寿こども食堂」を開催していない時にも平均して20人ほどの子どもたちがセンターに遊びや宿題をしに来るようになり、居場所としての機能もできました。また、子どもが自ら保護者の家事を手伝う等の自発性や味覚の発達にもつながっています。

川北秀人氏による7団体の発表に対する「質疑応答・コメント」と「ミニ講義」

質疑応答・コメント

代表7団体からの発表に対して、他の参加者から「質問」や「助言」を付箋紙に記入していただき、その中から特に多かった質問を川北氏から紹介し、それに対して代表7団体からコメントしていただきました。その後、川北氏から7団体に対して、今後の活動に対するヒントやアドバイスをいだきました。

川北 秀人氏

ミニ講義

数多くの助成機関で選考や、助成プログラムに対する助言を行っていらっしゃるお立場から、資金提供者側の立場として、NPOに期待されることについて、次のとおり、お話しいただきました。

  1. 資金を出す側としての期待は、自分がしたいこと(ウォンツ)のための活動ではなく、必要とする人やその関係者の「ニーズ」に対して、どのような「効き目」があるのか。事業を続けること・大きくすることより、対象者(受益者・当事者)と社会にとって、より良い変化を効果的・効率的にもたらす活動であることが重要。
  2. 課題が生じてから対応・解決するのではなく、課題が生じる前に予防につながる事業であることも大切。海岸清掃を例にとると、ゴミを拾えば海岸はきれいになるが、ゴミが出ない社会にするためにはどのようにすればよいのか。対策を考える際には、対処療法に陥ることなく、「なぜそうなったのか」を事実に基づいて確認し、再発しないためにはどうすれば良いのかを踏み込んで考える必要がある。
  3. 助成を受けた事業で得られた知見や効果を、同じ分野で活動している他の団体と共有することが大切。同じ分野で活動している団体にとって、共有できるロールモデルやプラットフォームとなる取り組みであることも期待されている。
  4. また、資金調達面では、助成金や受託収入への依存度を下げ、会費・寄付・事業収益という自主財源の収入に占める割合が向上できる取り組みであることも期待されている。

NPOに期待すること

市民活動団体のリーダーは「現場が大事!」とよく言いますが、自分たちの目の前の「小さな現場」に勤しむだけでなく、他の団体とともに、俯瞰的に地域や社会を見つめ、地域や社会に最適なしくみを確立できるよう、「大きな現場づくり」も大切。

改めて、NPOにとって大切なことは、「ニーズの把握」、「一歩先の視野を持って、半歩先の事業を提供し続ける」こと、そして活動・事業の対象となる顧客を特性ごとに分類し、それぞれに最適な価値を提供できるビジネスモデル(「誰に、何を、いくらで提供するか」)を確立することです。

最後に、みなさんの活動が、「誰かが用意してくれたサービスを受け取るだけ」の消費者を増やすのではなく、「より良い社会づくりを担う」市民を育てていただけることを期待しています。

山田理事長挨拶

本助成事業は、将来の担い手となる子どもたちの健全な育成を目的として、これまでに847の団体に4億2千500万円の助成金による活動支援を実施してきました。

現場で活動している団体のみなさんは、日々、大変なご苦労をされていると思います。特に、近年の深刻化する子どもの貧困問題など、子どもたちを取り巻く環境は、ますます複雑かつ多様化してきており、みなさんの活動は、社会的に重要な役割として欠かせないものとなっています。

これらの活動を今後も継続的に実施し、みなさまと一緒に子どもたちが夢と希望を持って成長して行ける社会の実現に貢献していきたいと考えております。

山田理事長挨拶

NTTドコモCSRの取り組みについて

NTTドコモCSR部の森主査より、ドコモが社会課題に取り組む様々な活動について、映像「ドコモグループのCSR~社会とドコモ、よりよい明日へ~」により説明がありました。

「ドコモグループのCSR~社会とドコモ、よりよい明日へ~」は、こちらからご覧いただけます。

本編(日本語)

ダイジェスト版(日本語)

事務局からのコメント

今年は、中間報告会で得た出会いや学びを通して、個々の活動をより良いものにしていただくことを目的としました。川北氏の発表7団体に対する「質疑応答・コメント」では、和やかな雰囲気のなかで参加者と活発な意見交換をすることができ、次のステップに進む意欲を高める報告会となりました。さらに、昨年のアンケート結果を踏まえ、参加者同士が交流できる名刺交換の時間を長く設けました。日頃の活動や悩みを語り合いながら、情報交換を行っている様子が印象的でした。終了後のアンケートでは、様々な意見をいただいたところであり、来年度に活かしていきたいと思います。

参加者のみなさまには、この中間報告会で得た気づきや学び、同じ悩みを共有する仲間との出会いを、今後の活動に活かしていただければ幸いです。

ご参加いただきありがとうございました。

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