ドコモ市民活動団体助成事業

公募による市民活動団体への活動資金の助成事業

Subsidized List

2026年度 ドコモ市民活動助成(子ども分野)の選考を終えて

選考委員長 一般社団法人I&Others代表理事 村木 厚子

はじめに

ドコモ市民活動団体助成事業は、2023年度より、子どもたちの健やかな育ちを応援する活動に取り組む全国の市民活動団体(NPO)を支援するため、延べ1,210団体、約7億3千万円の助成をしています。

2026年度の公募と申請状況

今年度は、2026年2月17日から3月31日の公募を行い、169団体(うち継続23団体)から申請が寄せられました。申請件数は昨年度より16団体増加し、内訳は、「子どもの健全な育成を支援する活動」129団体、「経済的困難を抱える子どもを支援する活動」40団体となります。

地域別には、関東甲信越66団体、関西29団体、九州20団体、東北13団体、東海12団体、中国9団体、北海道・北陸7団体、四国6団体と、全国各地から多様で意欲的なご提案をお寄せいただき、心より感謝申し上げます。

選考のプロセス

選考にあたっては、募集要項に示した「選考のポイント(5項目)」を基本に、課題解決に向けた提案内容の妥当性、緊急性、実効性について、事務局と選考委員がすべての申請内容を確認しました。そのうえで、各申請団体に書面によるヒアリングを行い、回答内容も踏まえて選考委員会で慎重に審議しました。
その結果、「子どもの健全な育成を支援する活動」では24団体(うち継続8団体)、「経済的困難を抱える子どもを支援する活動」では9団体(うち継続3団体)、今年度は計33団体(うち継続11団体)に対し、総額30,800,000円の助成することとなりました。

今年度の応募傾向

申請件数が多かったテーマについて、主な傾向をご紹介します。

居場所支援(健全育成:34件)

不登校児童生徒、発達障がいのある子ども、経済的に困窮しているひとり親家庭の子ども等を対象とした居場所づくりの提案が多く寄せられました。また、自己肯定感や主体性などを育む取組に加え、子どもへの不適切な対応を防ぐセーフガーディング、「ナナメの関係」を生かした伴走支援、保護者への相談支援など、支援の質を高める工夫も見られました。

不登校支援(健全育成:29件)

例年、フリースクールの運営など既存事業の充実を目的とした提案が多く見られますが、今年度は文部科学省の「COCOLOプラン(誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策)」の推進などを背景に、学校等との連携を重視した提案が増えております。学校関係者や他機関と連携した学習・相談支援に加え、担当者がケース会議に参加するなど、日頃から学校とのつながりを築いている取組みは、支援の実効性という点でも評価されております。

生活支援(経済的困難:16件)

近年の物価高騰を背景に、ひとり親世帯を中心とした食の支援に関する提案も多くみられ、子ども食堂やフードドライブ等、食料の提供だけでなく見守りやアウトリーチの機会として活用する取組も見られました。しかし、運営費や食材費の確保を主な目的とし、支援による子どもの変化や将来の自立へのつながりが明確ではない提案は低評価となる傾向があります。

就労支援(経済的困難:5件)

社会的養護出身の子ども、ひきこもり経験者、経済的困難を抱える家庭の子どもに対し、進学や就労への移行期に困難を抱える層を対象とした提案が多く見られます。地域資源や企業との連携による就労体験やキャリア形成、住まいの提供や伴走支援を組み合わせ、地域とのつながりを育みながら自立を目指す取組みが今年度の特徴でした。

今年度の選考をふりかえって

本助成事業は、子どもを取り巻くさまざまな社会課題の解決に取り組む全国の団体の活動と成長を後押しするため、幅広い活動テーマを対象としています。

こども家庭庁の設立以降、こども基本法の施行やこども大綱の策定など、子どもやその家族を支える政策・制度の整備が進んでいる一方で、長引く物価高による経済的困窮、人口減少による地域のつながりの希薄化、生成AIをはじめとするデジタル技術の進展など、子どもを取り巻く環境は大きく変化し、課題も複雑化・多様化しています。

今年度の申請においても、公的制度だけでは十分に行き届かない課題に対し、民間支援の柔軟性を生かし、新たな支援のあり方を模索する提案が多く寄せられました。

選考委員会では、それぞれの取組が子どもたちの健やかな育ちにどのようにつながるのか、期待される効果や社会的な意義を検討しました。その中で、特に以下の3点については、採択の可否を検討するうえで、具体的に確認した点です。必要に応じて、採択団体の皆さまには、選考委員からアドバスを行いました。

今後、本助成事業への申請を検討される皆さまにも、参考としていただければ幸いです。

① 子どもや保護者のニーズを捉え、必要な人に支援が届く取組となっているか

子どもや家庭の中には、自ら声を上げることが難しい人がたくさんいます。アンケートや聞き取りなどを通じてニーズを把握し、「誰に、どのような方法で支援を届けるのか」を具体的かつ明確にした上で、地域の実情に合った取組となっている提案は高評価としております。

また、行政、学校、医療機関、地域のNPO等との連携に加え、助成事業から得られた知見を、地域や他団体と共有し、社会に還元していく方法や工夫についても確認しました。

② 団体のビジョン・ミッションと事業内容に一貫性があり、中長期的な視点を持って取り組んでいるか

目の前の課題への対応だけではなく、団体として目指す社会や地域の姿(ビジョン・ミッション)を明確にし、その実現に向けた道筋を中長期的に描いているかを確認しました。

また、従来事業の継続を目的とした案件においても、子どもを取り巻く環境の変化を踏まえて活動を見直し、新たなニーズを捉え、それに対応する具体的な工夫がある提案は高評価としました。

③ 「継続性」を、事業規模の拡大だけで捉えていないか

本助成事業が考える「継続性」とは、事業を大きくすることではなく、支援を必要とする子どもやその家族のニーズに応えながら、必要な支援を継続的かつ効果的に届けられる体制を築いていくことです。本助成事業は、担い手の育成や資金調達、関係者・機関との連携強化等の組織基盤強化にも活用いただけます。まずは、地域の中で信頼を得ながら焦らず着実に進めていただくことを期待しています。

むすびに

本助成事業が、採択団体の皆さまにとって、これまでの活動をさらに発展させ、新たな一歩を踏み出す機会となり、子どもたちの健やかな成長につながることを心より願っております。
惜しくも採択に至らなかった皆さまにおかれましても、本事業へご申請いただいたことに深く感謝申し上げます。今後の活動のさらなる充実と、来年度のご応募を心よりお待ちしております。

NPO法人モバイル・コミュニケーション・ファンド(MCF)事務局

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