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ドコモ・モバイル・サイエンス賞

移動通信・情報通信の研究開発等の業績に対する褒賞事業

Winner / Ceremony

第24回(2025年)

このたび、「第24回ドコモ・モバイル・サイエンス賞」の3部門に応募いただいた研究業績の中から、選考委員会(選考委員長:東京大学名誉教授・伊藤元重氏)における厳正かつ公平な審査の結果「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」の優秀賞受賞者を決定しましたので発表いたします。

先端技術部門の受賞記事です

優秀賞無線通信における分散機械学習技術の先導的研究

東京科学大学 工学院 准教授
西尾 理志(ニシオ タカユキ)氏

授賞理由

機械学習分野で提案された連合機械学習の枠組みについて、無線通信への応用可能性をいち早く示し、通信分野への展開を主導してきた。また知識蒸留や entropy reduction といった手法を連合機械学習に統合し、学習時に発生する通信トラヒックを従来比で 1/100 以下に削減し、端末ごとの通信速度・計算能力・データ品質の違いを考慮した設計により、学習全体の遅延時間も大幅に低減できる手法を確立した。

モバイルエッジ環境における非一様な通信・計算資源、通信量の爆発、プライバシーの流出という現実的制約に対し、連合機械学習の特長を最大限に活用して解決する方法を他に先駆けて提示している。

主要業績である、連合機械学習に関する共著論文は、計算機科学分野の最難関誌 IEEE Transactions on Mobile Computing に掲載され、発表後4年で380件以上引用され、同誌のBest Paper Award 2023 に選出された。多数の後続研究も生じ波及効果を与えているといえ、さらに、チュートリアル講演の実施や、学会エディターとしても通信分野の発展に貢献している。

基礎科学部門の受賞記事です

優秀賞グラフ信号処理の基礎理論と応用における先駆的な研究

大阪大学 大学院工学研究科 教授
田中 雄一(タナカ ユウイチ)氏

授賞理由

グラフサンプリング定理、グラフ深層展開、時変グラフ信号処理などのグラフ信号処理における新概念を創出し、グラフ信号処理分野の先駆的研究を行っている。古典的なサンプリング定理とグラフサンプリング理論との類似点・相違点を明確にし、同分野が直面する課題とそれに対する理論を整理した。また実用化に向けた理論の適用方法を提示した。統一的な体系化と、これを論文のみならず書籍や解説としてまとめたことは高く評価することができる。

IEEE論文誌等のトップジャーナルへ多数掲載実績があるほか、国際学会の運営にも携わる。著書の「グラフ信号処理の基礎と応用」などを通じてグラフ信号処理分野の国内への普及にも尽力している。

社会科学部門の受賞記事です

優秀賞経済安全保障に関する計算社会科学の新領域の開拓

国立情報学研究所 情報社会相関研究系 准教授
水野 貴之(ミズノ タカユキ)氏

授賞理由

ビッグデータ・AI技術を社会科学へ応用する研究、特に国際政治経済学のゲーム理論と情報科学のグラフ理論との融合・統合により、投資や人的交流のグローバルネットワークを可視化し、外国政府による間接投資を通じた企業支配の構造や、位置情報データを用いた異民族間の分断・経済交流の実態の把握を可能にするという研究により、計算社会科学の新領域を開拓してきた。代表的な論文では、従来の指標で捉えられなかった「間接的かつ分散された所有構造を通じた実質的な支配力」を明らかにする新規性あるモデルを提案しており、学術的にも大きなイノベーションになると思われる。

人工知能学会・情報処理学会などで多数の受賞歴があり学界での評価は高く、計算社会科学会理事・人工知能学会編集委員としても貢献している。また、研究を基にした政策支援や実務導入の実績もあり、社会への貢献度も高いといえる。

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