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ドコモ市民活動団体助成事業

公募による市民活動団体への活動資金の助成事業

Subsidized List

2022年度 ドコモ市民活動助成の選考を終えて

選考委員長 川北 秀人

はじめに

ドコモ市民活動団体助成事業は、将来の担い手である子どもたちの健やかな育ちを応援する活動に取り組む全国のNPOに対して、2003年の創設以来19年間で1023団体に活動資金助成を行い、今回で20年目を迎えました。
今年度は、助成対象となる①子どもの健全な育成を支援する活動・②経済的困難を抱える子どもを支援する活動のうち、②の活動テーマについて「ヤングケアラー」支援を追加しました。感染症への対応も求められる中で家族の介護を続けるヤングケアラーへの支援については、一部の行政などによる取り組みが開始されているものの、支援が十分に行き届いているとは言えず、また、社会的な認知度も低いことから、その早期発見や支援に取り組む団体に対して、積極的な支援を行うこととしました。

応募状況

今年度は、本事業の利用促進にむけた取り組みとして、公募開始に先立って、①説明動画の公開、②記入の手引き・記入例の提示、③助成金説明会(助成金活用の意義・申請書の書き方講座を含む)を4回開催しました。
その結果、2022年2月16日から3月31日までの公募期間中に、「子どもの健全な育成を支援する活動」106件、「経済的困難を抱える子どもを支援する活動」49件、計155団体からご応募いただきました。昨年度(176件)に比べ21件減少していますが、その要因として、感染症によるニーズの拡大の一方で、感染症拡大防止対策が求められる中での活動体制づくりに困難を抱える団体が増えていらっしゃること、また、2020年度から23年度にかけて、国や自治体による緊急支援策が拡充され、休眠預金民間助成機関による緊急助成も多数実施されたことから、子ども支援の領域でNPOが活用できる支援制度が充実し、資金獲得の選択肢が広がったことなどが考えられます。
次に、今年度いただいた申請の傾向として、以下の点が挙げられます。

  • 活動テーマ別に見ると、子どもの居場所づくり(健全育成)に関する申請が27件と最も多く、昨年度に比べ6件増えました。また、他の民間助成機関等による緊急助成が終了し、新たに明らかとなった課題に取り組む提案が複数ありました。このうち、団体の進化が期待できる取り組みも見られましたが、単に事業の維持・継続を目的とした提案については低評価となりました。
  • コロナ禍による収入減や支出増で、もともとの困難な状況がさらに深刻化しているシングルマザー世帯等への支援内容を充実する提案(食料支援、就労支援、ニーズ調査 等)が、例年より多く見られました。
  • 全国の地区ごとの申請件数が全体に占める割合は、高い順に関東甲信越(62件,40%)、関西(32件,20.6%)、九州(14件,9%)、東北(13件,8.4%)、東海(9件,5.8%)、中国(9件,5.8%)、四国(7件,4.5%)、北海道(7件,4.6%)、北陸(2件,1.3%)でした。昨年度に比べると、東海地区からの申請は20件減少しました。

選考のプロセス

選考に際しては、募集要項に示した「選考のポイント」に基づき、事務局による一次審査(書類審査)と二次審査(面談審査)により選定された49団体からのご提案について、選考委員会において審議しました。
この結果、「子どもの健全な育成を支援する活動」22団体、「経済的困難を抱える子どもを支援する活動」11団体、「特定課題(児童虐待防止)の活動」8団体の計41団体を選出しました。このうち、活動内容について波及効果が期待される提案に対し、本件助成活動を通じて得られた知見や成果等の記録・発信(たとえば報告会の開催、報告書の作成・活用等)に関わる費用として、当初申請額の20%を増額助成する3団体を選定しました。
助成総額については、選考委員会で挙げられた各案件に対する条件等も踏まえて検討した結果、当初予算を上回る36,040,000円と決定しました。

選考の考え方

今年度は、新型コロナ感染症による影響が長期化する中で、多くの団体が新たな生活スタイルに即して、工夫を重ねて活動を進めていることから、これらの活動が進化・定着し、有効性が高まるよう、以下の考え方を大切にしました。

  1. 1

    子どもが置かれた状況を適切に把握し、ニーズに即した提案であり、状況の緩和・改善に資する取り組み

  2. 2

    現象への対処ではなく、原因に対して(再発を含む)予防につながる取り組み

  3. 3

    効果が見込みやすい手堅い方法ではなく、ニーズを把握したうえで、新たな支援の手法や在り方に 挑戦する取り組み

  4. 4

    関係団体や行政等との連携を促進し、支援の質を高め、活動を進化させることが期待される取り組み

  5. 5

    担い手の育成や自主財源率の向上に期待できる取り組み

なお、今後については、深刻化する課題の解決に挑むためには、自団体の事業や組織を大きくすることよりも、他団体との連携はもとより、事業や組織の在り方を進化させる取り組みと、組織運営の安定性の向上が、これまで以上に求められています。当助成プログラムでは、次年度以降も、担い手の育成や組織の体制づくり等)が盛り込まれた提案を、積極的に採用したいと考えています。

最後に、今回、助成対象に選ばれた団体のみなさまには、ニーズの再確認を重ねながら、ご提案いただいた成果が実現されることを期待いたします。一方、惜しくも助成対象とならなかった団体のみなさんには、来年の応募にも、ぜひ再度挑戦していただくことを期待いたします。

選考委員

  • 委員長 川北 秀人   IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表者 兼 ソシオ・マネジメント編集発行人
  • 委員  村木 厚子   津田塾大学客員教授
  • 委員  武田 有紀   株式会社NTTドコモサスティナビリティ推進室長
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