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ドコモ・モバイル・サイエンス賞

移動通信・情報通信の研究開発等の業績に対する褒賞事業

Winner / Ceremony

第21回(2022年)

第21回ドコモ・モバイル・サイエンス賞 授賞式

2022年10月21日(金)ANAインターコンチネンタルホテルにて、第21回ドコモ・モバイル・サイエンス賞優秀賞授賞式を開催しました。

ドコモ・モバイル・サイエンス賞は、情報通信・移動通信技術の発展と若手研究者の育成を目的とし、優れた研究成果・論文等の業績に対し「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」の3部門で受賞者を選出します。今回は、新型コロナウィルス感染症の影響により、延期となっていた第19回、第20回の受賞者・推薦者の方々もお招きし開催いたしました。

授賞式には、文部科学省 研究振興局 神部 匡毅様、NTTドコモ代表取締役社長 井伊 基之様をはじめ、ご来賓の皆さまにもご出席いただきました。

先端技術部門の受賞記事です

優秀賞セキュリティハードウェア設計・検証理論の開拓とその応用

東北大学 電気通信研究所 教授
本間 尚文(ホンマ ナオフミ)氏

授賞理由

本間氏は、算術アルゴリズムの系統的な設計・検証理論の研究を発展させ、高安全なハードウェアを実現する新しい情報セキュリティ、ハードウェアセキュリティ分野を開拓する顕著な業績を挙げた。様々な数系に基づく算術アルゴリズムをハードウェアで実現するための設計・検証理論に取り組み、特に計算機代数の技法を駆使することで、大規模な暗号ハードウェアの完全かつ高速な検証を可能とした点で、新規性・革新性が高い。論文・会議登壇のみならず国際学会の要職を務めるなど、学術界への功績も大きい。

本間氏が公開したガロア体算術アルゴリズムの合成・検証システムは世界的に多数の機関で利用されている。また、ハードウェア安全性を評価・検証するプラットフォームを開発・公開する、サイドチャネル攻撃への対策の評価手法の標準化に寄与するといった形での社会への貢献も認められる。

サイバーフィジカルシステムの安全性確保の基礎としてハードウェアセキュリティの重要性は増しており、本間氏の研究の発展は社会的要請にも応えるものである。

受賞の言葉

本間 尚文 氏
東北大学 電気通信研究所 教授本間 尚文(ホンマ ナオフミ)氏

この度は名誉ある賞を頂戴し、大変光栄です。私は、これまで暗号を中心とする次世代セキュリティ技術を論理的だけでなく物理的にも安全に構築するための研究に取り組んでまいりました。来るべきスマート社会のサービスや製品を安心して利用するための技術の確立に向けて、今回の受賞を励みに、一層精進してまいります。

基礎科学部門の受賞記事です

優秀賞トポロジカルナノフォトニクスの先導的研究

東京大学 先端科学技術研究センター 教授
岩本 敏(イワモト サトシ)氏

授賞理由

岩本氏は、物性科学で発展してきたトポロジーの概念を光の制御に適用し、半導体フォトニクス結晶を用いて光のトポロジカルな状態を実現することで、従来技術の延長では難しい、急峻な曲げに対応可能であり、曲げても低損失で劣化が非常に少ない導波路を実現した。光集積回路部品の大幅な小型化に貢献しうるものとして注目されている。また、トポロジー概念を用いての世界初のトポロジカルナノ共振器も実現した。

アプローチに新規性があり、岩本氏独自の学術領域創成への期待も持てる。光通信システムへの応用、省エネ化、新たな多重通信技術の研究等にも繋がるものとして、学術面でも社会的にもこれまでの貢献・将来性共に優れている。

受賞の言葉

岩本 敏 氏
東京大学 先端科学技術研究センター 教授岩本 敏(イワモト サトシ)氏

この度は受賞の栄に浴し、大変光栄に存じます。トポロジーという考え方で光科学および光技術を眺めることで新たな可能性の創出に貢献したいという思いで研究に取り組んでまいりました。イノベーションにつながる成果の実現を目指し、より広範な分野の皆様との連携も図りながら、一層研究活動に精進してまいります。

社会科学部門の受賞記事です

優秀賞災害情報に関する研究と実践

東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター 准教授
関谷 直也セキヤ ナオヤ

授賞理由

関谷氏は、災害情報に関する課題、災害とメディア、コミュニケーションが関わる課題に関して、社会心理学・社会情報学の立場から社会調査に基づく実証的な研究を行っている。34篇の論文を基にまとめた著書『災害情報―東日本大震災からの教訓』は、主に、東日本大震災後の氏の研究をまとめたもので、災害情報に関連する課題の体系化を試みており、当該分野における現段階での優れた集成といえる。原子力災害についても、広域避難、風評被害、リスク・コミュニケーションなどの研究を実施している。

度々大地震の被害を受け、また気象災害も相次ぐ日本で、情報通信技術がいかに防災に貢献していくかは今後も課題であり続ける。関谷氏の研究は、今後の展望も含めて、そうした課題解決に寄与していくものと思われる。災害現場の声をきめ細かく拾い上げている点、公務を通じて防災対策・復興施策等へ貢献している点も評価できる。

受賞の言葉

関谷 直也 氏
東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター 准教授関谷 直也 (セキヤ ナオヤ)氏

この度は栄えある賞を頂戴し、大変光栄に存じます。災害時に情報が果たす役割が大きいことは今も昔も変わりありません。ただし、それら情報が有効なものとなるか、混乱をもたらすかは、それら情報を扱う人間にかかっています。情報が多くなればなるほど、社会と人々の心理への洞察を深めていかねばなりません。今回の受賞を励みに、今後も、災害時の情報と心理の研究を継続していきたいと思います。

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