受賞者・授賞式Winner / Ceremony
第23回(2024年)
2024年10月25日(金)にANAインターコンチネンタルホテル東京にて、第23回ドコモ・モバイル・サイエンス賞授賞式を開催しました。
ドコモ・モバイル・サイエンス賞は、情報通信・移動通信技術の発展と若手研究者の育成を目的とし、優れた研究成果・論文等の業績に対し「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」の3部門で受賞者を選出します。
今年度は各部門から3名の方が優勝賞を受賞されました。
特に今年度は優秀な案件が多く、初めてとなる選考委員特別賞1件を選出させていただきました。
授賞式には、文部科学省 研究振興局長 塩見みづ枝様、NTTドコモ 前田義晃代表取締役社長をはじめ、ご来賓の皆さまにもご出席いただきました。
優秀賞フェイクニュース現象に関する計算社会科学の研究
授賞理由
計算モデルとビッグデータ分析を用いて、人間の認知特性とプラットフォームの相互作用で意見の分極化と社会的分断が生じ、エコーチェンバーが発生する仕組みを明らかにした。
当該分野における数理的技法の導入の必要性が高いところ、メトリクスを整備し、エコーチェンバーを解決するための1つのアプローチを示した点で新規性・革新性が高いと評価できる。
ハイレベルな国際会議での発表実績、電気通信普及財団賞を初めとする多数の受賞など、国内外で高く評価されている。図書執筆や講演などの一般向け情報発信にも積極的であり、社会への貢献度も高いといえる。
受賞の言葉
この度は栄誉ある賞を賜り、光栄に存じます。これまで、フェイクニュースの問題を計算社会科学の手法を用いて研究してきました。今後は、生成AI時代におけるフェイクニュースの高度化・大量化の課題に取り組み、健全な情報環境の実現に尽力する所存です。皆様のご支援に深謝するとともに、この名誉ある賞に恥じぬよう精進してまいります。
選考委員特別賞認知的健康につながるコミュニケーション支援技術の開発
授賞理由
社会的交流が多い人や言語能力が高い人が、加齢に伴う認知機能低下や、認知症発症リスクが小さいことが知られているが、認知機能維持に役立つコミュニケーションの特徴、条件は明らかでなかった。
大武氏は、会話と認知機能の関係性という心理的側面に着目し、高齢者の認知症予防のために、加齢とともに低下しやすい認知機能を活用するルールを加えた会話支援手法を独自に考案した。また、生活の中で取り入れることができる技術の開発を目指し、当事者と共に利用評価を重ね、技術を改良してきた。
大武氏の研究は、喫緊の社会的課題である認知症に対する解決策を提示している点で、社会への貢献・将来的影響が期待されることから、次の展開を期待し、選考委員特別賞の授与を決定した。
受賞の言葉
選考委員特別賞に選出いただき、心より感謝申し上げます。この研究は、情報学を基点に、医学、心理学、言語学等、多くの分野の研究者や、市民、自治体、施設等、多くの関係者との共同研究により推進しているもので、受賞を通じてご恩に報いることを嬉しく思います。研究をさらに展開し、脳を長持ちさせる技術を開発、実用化して参ります。