メニューボタン

ドコモ市民活動団体助成事業

公募による市民活動団体への活動資金の助成事業

Subsidized List

2025年度 ドコモ市民活動助成(環境分野)の選考を終えて

はじめに

ドコモ市民活動団体助成事業は、2023年度より生物多様性が保全された豊かな自然を未来の子どもたちへ引き継ぐことを目的に、全国の市民団体による多様な環境保全活動に対して助成金による支援を行っています。

今年度の公募と申請状況

2025年度は、2025年2月18日から3月31日までの公募期間に31団体から申請いただきました。その内訳は「生物多様性の保全を推進する活動」27団体(継続7団体)、「30by30目標達成に貢献する活動」4団体と、全国各地から応募いただきました。お忙しい中、申請をご準備くださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。

選考のプロセス

選考にあたっては、募集要項に示した「選考のポイント(5項目)」、課題解決にむけた提案内容、施策内容の妥当性等について、事務局(3名)と選考委員が全ての申請を確認したうえで、選考委員からの質問事項にもとづき、事務局から各申請団体に書面によるヒアリングを実施し、その回答内容を踏まえて選考委員会において審議を行いました。
その結果、「生物多様性の保全を推進する活動」では10団体(うち継続5団体)、「30by30目標達成に貢献する活動」では2団体(うち1団体は仮採択※)を採択しました。最終的には、昨年度に「30by30目標達成に貢献する活動」(2年間)で採択した2団体を含め、計14団体に対して総額15,400,000円を助成することを決定しました。

※仮採択団体は、活動テーマ「30by30目標達成に貢献する活動」の「自然共生サイト」認定後の活動のステップアップを目的とした申請であり、選考委員会における審議の結果、採択対象となりましたが、令和6年後期の自然共生サイト認定審査が令和7年度前期に持ち越されたため、認定が確定次第、本採択とします。

活動テーマごとの応募状況

活動テーマ1:生物多様性の保全を推進する活動

  • 「環境学習活動」が13件と最も多く、次いで「自然環境保全活動」が9件、「絶滅危惧種等の保護活動」が3件、その他が2件でした。
  • 地域別では、今年も関東甲信越が最も多く(8件)、次いで関西・中国・四国・九州(各3件)、東北・東海・北陸(各2件)、北海道(1件)でした。
主な傾向
  • 「環境学習活動」:子どもや地域住民を対象に、生物多様性の重要性や自然の仕組みについての継続的な学びや自然体験を通して伝える提案が多く見られました。
  • 「自然環境の保全活動」:里山・河川・海を活動フィールドとし、単に自然を守るだけではなく、放置された森林の整備や荒廃した海の環境をどう回復させるかという視点も加え、地域の人々や子どもたちを巻き込む多様な活動の提案が増加しました。
  • 「絶滅危惧種の保護活動」:コウモリやヤクタネゴヨウなど希少種の生息環境調査や整備を通じて生態系のバランスを守る提案が多くみられました。また、環境学習活動と組み合わせることで、生物多様性保全の意義を地域全体で共有し、実際に保全活動への参加を促す提案も増えました。

活動テーマ2:30by30目標達成に貢献する活動

  • 自然共生サイト認定をめざす活動」2件、「自然共生サイト」認定後の活動のステップアップを目的とした活動」2件でした。
  • 地域別では、関東甲信越が2件、中国・九州が各1件で、その他の地域からの申請はありませんでした。
    なお、令和6年法律第18号「地域生物多様性増進法」(令和7年4月1日施行)に基づき、管理放棄地や開発跡地などの生物多様性回復・創出をめざす活動も対象としましたが、今年度は該当する申請はありませんでした。
主な傾向

活動場所は、中山間地域や都市部での保全活動が3件で、地域固有の希少種保護に重点を置いた住民参加型の活動でした。有識者や若い世代(高校生・大学生など)の参加を促し、多様な主体が協働して生物調査やモニタリングを行い、大学教授や環境関連分野を学ぶ学生の協力を得ることで、市民による調査の質の向上や地域密着型の保全活動の推進につなげることを意識した申請が、昨年に比べ顕著に見られました。

共通課題と今後への期待

本助成事業の審査では、生物多様性保全活動の持続可能性に期待する観点から、活動地域の現状と課題に加え、自団体の課題を解決するための具体的な目標設定と達成度を評価し、活動の進化に繋がる取り組みを重視しています。
さらに、助成期間終了後も安定して活動を継続できるよう、安定的な資金調達の仕組みづくりや担い手育成など、活動基盤の強化に向けた取り組みを積極的に推進する必要があると考えています。これらについては、今回ご申請いただいた団体の半数以上が、課題として資金難等により、団体の基盤が脆弱な状況に危機感を持っているにも関わらず、その具体的な対策が十分に示されていなかったことから、一次審査で懸念が示されました。そのため、二次審査の対象となられた団体には、改めて書面によるヒアリングおよびオンライン面談でお話を伺いました。お忙しい中ご協力くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

審査における重要なポイント

一次審査で懸念が示された団体には、選考基準(下記)に基づく1~3に加え、本助成事業が重視する活動の継続性の観点から、④についてヒアリングを実施しました。今後ご申請いただく皆さまには、これら4つのポイントを意識し、具体的なご提案をいただきたいと考えます。

  1. 活動対象地域の現状把握: 生息・生育する在来種や外来種の名称・数、地理的特性など、生物多様性の観点から見た現状と課題を具体的に示すこと。
  2. 目標の明確化: 事業を通じて、生物や生態系にどのような良い変化(効果)をもたらすか、その根拠と併せて具体的に示すこと。
  3. 成果の検証方法: 生物に影響するポジティブな変化をどう確認するのか。例えば、「指標種」を設定している場合は、その種名とモニタリング手法(頻度・時期・方法)を具体的に示すこと。指標種を設定しない場合でも、その代替となる具体的な確認方法を示すこと。
  4. 継続性(特に人材・資金):担い手育成として、団体スタッフやボランティアが継続して活躍できるためのカリキュラムや研修会など。資金調達では、活動報告だけでなく、生物多様性の価値を「見える化」し、ウェブやSNSを活用した情報発信を強化し、共感者を増やすこと等、具体的かつ継続的な工夫点を示すこと。

なお、選考委員会において、採択団体の中で上記の課題への取り組みの強化が必要であると判断された団体は「条件付き採択」とし、一部の活動内容・目標の見直しをお願いしております(対象8団体)。

むすびに

生物多様性の損失を防ぎ、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現には、多様なセクターが手を取り合い、強固なパートナーシップを築くことが不可欠です。日本の全国各地でその動きは始まっていますが、容易なことではなく、取り組みの持続可能性を高めるために、継続的な担い手の育成や、他のセクターへの効果的な働きかけなど、基盤の拡充が求められます。
採択団体の皆さまには、地域の実情に即した環境保全活動を継続的に実践できるよう、様々なセクターや地域住民と連携しながら、柔軟な発想と挑戦心をもって積み重ねていただくことを期待いたします。
惜しくも採択に至らなかった皆さまにも、今回のご申請にお礼申し上げるとともに、来年度の応募に再び挑戦していただけることを心よりお待ちしております。

NPO法人モバイル・コミュニケーション・ファンド(MCF)事務局

現在位置は
このページのトップへ戻る