活動報告Activity Report
活動報告
202007/31
2019年度(アジア諸国からの留学生):1年を振り返っての感想
- 奨学生一覧
勉強だけでなく生活面でも大きな進歩を遂げた
名前:ハフェザ・ヌジャイラさん
大学:北海道大学
国籍:バングラデシュ
バングラデシュのハフェザ·ヌジャイラと申します。 現在、私は北海道大学大学院環境科学院修士課程2年生として「地球環境マネジメント」を研究しています。私が研究のために日本を選んだ主な理由は、産業や技術的な知識やコミュニケーションが発達しているからのみならず、人間関係における愛情や信頼等の精神的な面も影響していました。日本に留学する前は、さまざまな悩みや不安がありましたが、今振り返ってみると、それは正しい選択だったと思います。 着いたばかりの頃の不安な状況と比べると、今は勉強だけでなく生活面でも大きな進歩を遂げていると思います。
去年は人生最高の年でした。北海道大学環境科学院に入学するチャンスを得ることができましたが、私の夫も北海道大学の学生で、私費留学生であり、試練に直面しました。その頃は毎朝学校へ行く前に、夫はお金を稼ぐために仕事へ行きました。お金がないと、私たちは全く生活できません。 4月1日から私の新しい生活が始まりました。 毎朝5時に起きて、家事を全て済ませ、二人の娘を保育園に連れていく準備をして、午前8時、私は2人の娘を別々の保育園まで連れていき、その後、研究室へ行きました。 バスに乗るお金が足りないので、毎日最低15キロの道のりを自転車で往復しました。 毎日、午前7時半に家を出て午後7時45分頃に帰宅する生活でした。 忘れもしない7月11日は人生最高の日です。大学の事務室より奨学金を受給することができたという連絡が届きました。この結果を聞いて、私はうれしくて涙が止まりませんでした。 JEES・ドコモ留学生奨学金が私を奨学生として選んでくれたことに大変感謝しています。 8月からJEES・ドコモ留学生奨学金の資金援助を受けて、私の生活は、大変よくなりました。現在では、勉強に集中することができます。おかげさまで、素晴らしい成績(A級-80-89点)で、コースワークで18単位以内の17単位目を修了しました。人生は簡単ではないし、一生懸命働かないとライフサイクルの改善もできないと思っていました。
11月22日に東京のJEES・ドコモ留学生奨学金本部への集まりに招待されたのは、大変すばらしい経験になりました。日本語については初心者レベルなので、JEES・ドコモ留学生奨学金を受けている他の奨学生やドコモの幹部の皆さんの前で初めてのスピーチをした時は大変緊張しました。 私が間違えるとみんな笑うのではないかと大変心配しました。でも、皆さん素晴らしく、こちらも様々な刺激を受けました。 夕食時には、おにぎりとエビの天ぷら、ハラールしか食べられない私を気遣い、主催者の方々は様々な食べ物を勧めてくれました。プログラムへの参加は、本当に良い思い出になりました。
現在は、金銭的な心配をせずに、毎日勉強を集中して行うことができています。JEES・ドコモ留学生奨学金事務局の皆様、本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
良い研究をしながら後輩にもサポートしてあげたい
名前:デ ゾイサ カルナティラカ ヴィハンガさん
大学:東北大学
国籍:スリランカ
私は2019年に東北大学大学院に進学し、研究室の人と一緒に仲良く研究してきました。この一年間で良い研究をしながら日本で楽しい時間を過ごしていました。また、勉強だけではなく、東北地方で観光も楽しむことができました。
さらに、去年行った研究の成果をいろいろな学会で発表ができ、日本国内の様々なところに行くことができました。現時点ではその成果をApplied Physics Letters誌に投稿しており、査読中の段階です。最初は装置の使い方などが慣れてなくて研究室の先輩と教員の指導を受けながら研究室の環境に慣れてきました。今は裸眼では見えない電子デバイスを創ることができ、楽しく実験をしています。
平日はほぼ研究室で過ごしていますが、週末は友達と一緒に遊びに行ったりします。焼肉屋や映画館に良く行きます。日本人の友達にスリランカの料理を作ってあげたり、日本語の方言や各県の特徴を教えてもらったり文化交流をしています。
今まではこのような生活していて、今後は良い研究をしながら先輩に教えてもらったようにできる範囲で後輩にもサポートしたいと思っています。
「人生の目的」を探す時間
名前:張 津銘さん
大学:筑波大学
国籍:台湾
大学院に入ってからのこの一年を一言で言えば、「人生の目的」を探す時間でした。自分が一体これから社会に何を通じて何をもたらしていくかについて考え抜いてきました。世の中に対して漠然とした状態を抜け出すために、新聞を毎日しっかり読んだり、本を週に二冊以上幅広く読んだりして社会への理解度を上げていきました。幸いなことに、そうすることによって自分の本当にやりたい仕事と自分の性格に合うような生き方を見つけました。
その甲斐あって、人生の目的に近づくための会社への就職も早くから決まりました。就職までどう過ごしていけば良いのかと社会人に聞いたら、学生時代にしかできないことをやれとのアドバイスが返ってくることが多いでしょう。私は就職するまで自分の関心がある課題について研究を思う存分にしながら、社会で活躍する上でアウトプット能力を含む最も重要なコア能力をさらに磨いていきたいと考えています。地方大学の大学院生はコミュニティが大きくはないのですが、インターネットがあれば地方のコミュニティを超え、科学、社会、政策、政治、文化等多岐にわたる議題に関心がある仲間たちと議論したり、自分の考えを発信していくことができます。ここ数ヶ月そうした活動をしている中、想いがますます強まりました。私ができるだけのことをし、日本本土の多方面における、さらなる発展に寄与したいという想い。
昨今のコロナウィルス感染拡大が世界経済に巨大の影響をもたらしてきています。世の中が未曾有の流れで大きく変わっていくでしょう。このようなご時世こそ、自分として会社に入って何ができるかを毎日考えながら、引き続き学生としてできる限り自分の価値を高めていきます。会社に入っていち早くスキルを身に付けて価値の高い人間になれば、これからどのような変化が起っても、対応できるでしょう。
自らが成長できた一年
名前:都 蘭さん
大学:千葉大学
国籍:中国
2019年度は感謝に満ちた一年でした。まずは、生活と学習を支えてくださったJEES・ドコモ留学生奨学金に心から感謝いたします。奨学金をいただけたことで、時間的に余裕ができ、研究と就職活動を順調に進めることができました。そして学内外の様々な活動に参加を通じて色々な経験をすることができ、充実した一年を過ごすことができました。また、奨学生を対象にした全国交流会に参加することにより、奨学生同士で交流でき、お互いの国についての理解が深まりました。さらに奨学金のOB・OGからいただいたアドバイスは、研究を行う上でも就職活動を行う上でも大変参考になりました。
次に、昨年は自らが成長できた一年でした。2019年度は大変忙しかったですが、非常に充実した日々を過ごせました。学習面では、修士論文を除いて、大学院の履修コースの全単位を取得しました。そして、国際経済学だけではなく、自然言語(R言語とPythonとか)によるデータ解析、統計学を学ぶことによって、修士論文でのデータ解析の基礎となる知識を身につけました。また、日本での就職を考え、日本の企業理解を深めるために、夏のインターンシップと冬のインターンシップに積極的に参加しました。インターンシップに参加することにより、その企業の事業理解と経営理念を深く理解できました。それだけではなく、様々な学校から集まった学生たちと意見交換ができました。課題の解決に向けて、チームで協力し合った体験は、コミュニケーション力と協調性を高めることに繋がったと思います。
さらに、社会人の方々と交流する中で、就職活動についてのアドバイスをいただくことができ、社会人になる上での心構えができました。生活面については、学習と生活のメリハリをつけるために、この1年間ヨガとジョギングをずっと続けていました。そして登山や旅行に出かけたり、料理をしたりすることで、ストレスを解消でき、効率の良い生活を送ることができました。
これからは、残り1年しかない学生時代を有意義に過ごしたいと思っています。研究室や図書館、食堂に多く通って、学生としての幸せをしっかり味わいたいです。そして、そろそろ社会人になるので、研究以外の時間には、学生と社会人の違いをよく考え、社会人に必要となるスキルを備えていきたいと思っています。
一人前の研究者になるため
名前:HUANG WEN-CHINさん
大学:名古屋大学
国籍:台湾
名古屋大学大学院情報学研究科の修士2年生のHUANG WEN-CHINです。日本での留学1年目を振り返ると、とても充実した一年を過ごしました。私は、修士号を取得した後、現在の指導教授である戸田智基先生の研究室がある名古屋大学の博士後期課程に進学する予定です。そのため、様々な音信号を対象とした音声情報処理に関する知識をより広く、深く研究したいと思っていました。この1年間、「音声変換の性能向上」という研究テーマを中心にして取り組んでいました。ありがたいことで、様々な試行錯誤を繰り返す中、有効な提案法がやっと出来て、従来法と比較したら自然性を改善できることができました。その研究結果を3本の論文にまとめ、音メディア情報処理に関する国際会議に投稿、発表しました。
スペインとオーストリアで行った国際会議は新米研究者の私にとってすごく貴重な経験でした。初めて全世界からの研究者の前で自分の論文を発表した時はものすごく緊張しましたが、色々なアドバイスを頂き、良い交流ができました。パーティーや食事会で、同じ分野の研究者たちとお互い取り組んでいる研究の状況について情報交換を行いました。非常に刺激的な経験でした。また、自分の研究能力を検証するため、昨年の夏はNTT科学基礎研究所でインターンシップに参加し、実践的な研究課題に挑み、視野を広げながら、問題設定・解決能力を養いました。
全体的に見ると、この1年間は早く一人前の研究者になるために必要な知識や経験を積んで、研究活動に精一杯頑張っていた1年でした。これから、今まで得た経験と知識や交流を活用して、さらに音声変換の基盤システム改善を目指していきます。そして、実世界が直面する問題を解決するため、医療における音声技術の応用の可能性を検討したいと思います。実際に存在している患者の需要を発見して、それに対する支援を構想するならば、自分の視野も広げていけると思います。一方、日本語の勉強をし、日本の文化を学ぶために、積極的に取り組んでいきます。
学業と研究で忙しく充実な一年間
名前:Ho Quan Xiuさん
大学:豊橋技術科学大学
国籍:マレーシア
豊橋技術科学大学大学院のホーです。JEES・ドコモ留学生奨学金に採用していただき、誠にありがとうございました。奨学金をいただいたおかげで生活に余裕があり、学業に専念することができました。日本に来て2019年で5年目になりました。この一年の間、学業と研究で忙しく、私にとって充実した一年間でした。修士修了に必要な単位を取得し、「深層学習を用いた画像からの照明色推定」をテーマとして研究を行っていました。研究活動として、深層学習の基礎知識について勉強しながら先行研究の論文も広く調査しました。今後は関連研究を参考にしながら新たなアイデアを考えて手法を提案し、研究を進めていきたいと考えています。今まで勉強してきたIT、またはAI関連の知識を活用し、日本と母国だけでなく世界中の社会が抱える課題解決に貢献できるエンジニアになることをめざしています。
この一年間はむろん学業や研究ばかりではありませんでした。ストレスを解消して視野を広げたいため、休日があったときに、海外と日本国内旅行にも行きました。特に両親を連れて行った日本旅行が一番楽しかったです。雪化粧した富士山が見えて非常に感動しました。日本にいる間、九州や東北にも行ってみたいです。
残りの一年間は、おそらくコロナウイルスで大学生活や就職活動にかなり大きな影響が出ますが、それでも屈せずに楽しく過ごし、研究を頑張っていきたいと思います。
世の中を見る角度が広くなった
名前:Altankhuyag Khishig-Ochirさん
大学:豊橋技術科学大学
国籍:モンゴル
今までの生活を振り返ると勉強の辛さや日常的な問題より日本に来てから出会った様々な方のことが記憶の中で一番深いところに入っています。日本語を初めて教えてくれた先生、そして高専で過ごした3年間に仲良くしてくれた同級生達のこと、時には厳しいですが専門の知識を伸ばしてくれた先生方、奨学金の関係者の皆様、研究室の先輩など、多くの方々にお世話になり、大変感謝しております。その中では、一番嬉しく思っているのは多くの人々の話を聞くことで世の中を見る角度が広くなったと感じています。それによって、自分の弱みであったコミュニケーション能力を伸ばすことができました。特に、この1年間で大学院生として研究に力を取り組む上で、研究室の中で学部の後輩に装置の使い方から始め、資料作り、データ整理など様々なことで先輩としてできる範囲で手伝い、責任感を大きく感じた年になりました。
また、初めての学会に参加し、緊張を乗り越えて無事に発表を終えることができ、自分の専門についての知識が更に深くなったと思います。これらのことで私にとって大変充実した1年間であったと考えます。
これからは学生としての残りの1年間も後悔ないように自分の目的に一歩一歩近づけるよう全力で頑張って良い思い出を多く作りたいと思います。日本に留学した私は、今までの7年間で様々な先生や日本人の方々と出会ったおかげで、知識面だけではなく、精神的にも大きく成長していると感じております。
最後に、このような充実した生活をおくることができるのは、JEES・ドコモ留学生奨学金の皆様の支援があるからであり、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。
夢に近づく一年
名前:時 嘉祺さん
大学:大阪大学
国籍:中国
修士課程の学生として大阪大学の基礎工学研究科に入学してから、一年になりました。JEES・ドコモ留学生奨学金のおかげで、この一年間、毎日を大事にしながら、有意義な日々を過ごし、日本の文化を体験し、留学生活を楽しんでいました。また、人々の生活を快適にさせ、社会の進歩を促すために自分の力を捧げる人工知能研究開発者になる夢にも近づくようになりました。
大学で、統計解析や機械学習などといった幅広い分野の授業を受け、様々な本を読み、研究の役に立つ色んな知識を身に付けるよう努力した結果、発想力も豊かになりました。さらに、マルチモーダル情報に基づく感情認識の研究も行っています。ディープラーニングに基づく姿勢推定を用い、既存のデータベースからスケルトンデータを抽出することで、モーダルを増やし、データベースを拡張しました。また、アテンションメカニズムに基づくニューラルネットワークを提案し、パラメータの最適化を行いました。検証実験には、提案された方法は効率的に感情に関わる特徴を抽出し、パフォーマンスを大幅に向上させることができることを示しました。得られた結果は、The 2nd International Symposium on Symbiotic Intelligent Systemsにおいてポスター発表し、INTERSPEECH2020に投稿しました。
自分の研究の完成度を高めたい
名前:ソン ミンスさん
大学:九州大学
国籍:韓国
過去1年間は、日本の生活を通じて3つのことを学ぶことができたと思います。
一つ目は、学校生活での新しい経験です。修士課程1年生では卒業要件に必要な科目の大部分の受講を要求される時期でした。初めて日本に来て大学院から進学したため、毎日が挑戦でした。当初は、韓国の講義申請から授業の中の課題やチームプロジェクトなど、全体的に授業方式が違うため、適応に困難がありましたが、研究室の友人や先輩、友達など周囲の人々に積極的にコミュニケーションをとるなど、より早く授業に適応できるように努力しました。その結果、成績管理のみではなく、留学前から自分が勉強したい科目を実際に受講して知識の幅を広げていく楽しさも感じました。
二つ目、研究に対しての経験です。現在、私は複数のロボットやセンサを用いた生活支援サービスのプラットフォームの開発について研究しています。取り組んだ中で共同研究などのプロジェクトに参加する機会がありました。そこで、初めて日本語によるミーティングに参加しましたが、ビジネス用語などの言語的な困難がありました。その問題を克服するため、毎日新聞及びビジネス日本語に関する記事を用いて勉強する努力を行いました。また、プロジェクトに参加することで、自分の研究がどのような社会的な価値を持っているかを分かる機会ができ、特に現在、高齢化による労働力不足の問題を解決方法として提案が出来る研究をしていることに、やりがいを感じました。
最後は、日本でのインターンと就職活動の経験です。1年生の夏休みに3社の中長期インターンを経験しました。実際に研究や授業を通じて習得した知識がビジネスにどのように活用されていることを体験しました。また、日本の業務プロセスについて学ぶ機会ができ、とても良かったです。 初めて経験することで当然、一筋縄では行かない状況もありましたが、効率的に限られた時間の内に業務課題を解決出きるかを考え、プロジェクトに関する関連資料を勉強し、プロセスを向上するために努力しました。その結果、時間内にプロジェクトを完成させるとともに最終発表も良くできました。さらに、インターンの同期との人間関係を広げる良い機会になったと思います。
今後私は、卒業して社会人になるまでの1年間は研究に対してもっと集中し、世の中に必要とされるサービスプラットフォームを構築したいと思います。そのために、様々な学会に積極的に参加し、自分の研究の完成度を高めたいと思います。そして、コロナが終わったら、研究室の友人と国内の旅行に行くなど、大切な時間を費やし、学生として可能な経験や良い思い出を作りたいと思います。