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ドコモ市民活動団体助成事業

公募による市民活動団体への活動資金の助成事業

Activity Report

『NPO法人 Okinawa Hands-On NPO』様沖縄県 / 助成金額:500,000円

目録贈呈の様子

活動名

~こどもの学習支援と放課後の履歴書づくり~  越来尚泰久(ごえくしょうたいきゅう) IGALOO塾

概要

全国的にも高い水準で推移する沖縄市の子どもの相対的貧困の実態をより把握し、高校進学推進のための基本的な授業カリキュラムを基盤に、経済的困難にある生徒たちとその家族の生活状況を、行政や専門機関、そして学校や自治会と共有理解し、実年齢、多世代と危機感の共有を図ることで、自己肯定惑を見出すことができる放課後の授業、また、人の縁(えにし)が自己の人生観に繋がる郷土愛を育むプログラムを展開します。

中間報告
異年齢でピアラーニング学習

中間報告

201709/21

NPO法人 Okinawa Hands-On NPO 中間報告(2017年2月17日 現在)

[活動に至る背景]

日本は子どもの貧困率16.3%と先進国の中でも非常に深刻な状況の中、都道府県別子どもの貧困率(内閣府:2012年調査)によると、沖縄県は2位の大阪府(21.8%)をはるかに超え、1位(37.5%)となり、大きな社会問題となっています。特に沖縄県内では中部地域、なかでも沖縄市は、県内で子どもの貧困率がかなり高いと言われています。戦後から復帰後も米軍基地政策の下、沖縄市は都市化政策や核家族化に伴い、様々な社会問題(失業率1位、離婚率全国1位、高校中退率1位等)が長年続いており、子どもの貧困問題が数年前から度々議題にあがり、見えない貧困、届かない公的支援の在り方に対し、どのように手を差し伸べていくかが話し合われている最中です。

[活動状況]

学習支援プログラムを通して、貧困の世代間連鎖を断ち切り、次世代の沖縄県を担う人材育成のモデルケースとなるよう事業展開を図っています。学習手法として、生徒それぞれの苦手科目に対して理解力の高い生徒たち同士を組ませ、ピアラーニングサポート形式(理解した方が勉強の仕方や問題の解き方がわからない生徒たちへ教え合う手法)を取り入れ、主体的な学習環境づくりを行っています。同時に、地域貢献活動(福祉施設や老人施設、公民館でのしまくとぅば演劇キャラバン隊、清掃活動、ボランティア)活動も継続的に行うことで、児童青少年活動に対する地域の方々の意識も高まりつつあります。

[成果(アピールポイント含)と反省点]

学習面では、お互いに主体的に教え合う形式(ピアラーニング)を取り入れ、より理解が深まり、チュイシージー(沖縄語で:助け合いの意味)の心を育むことができつつあります。越来尚泰久IGALOO塾(ごえくしょうたいきゅうイガルーじゅく)を公民館で開催することで、そこが生徒たちの居場所のみならず、心の拠り所ともなり、今まで以上に公民館を利用する機会が増え、地域の方々との顔の見える関係づくりが拡がりつつあります。地域イベントや、異年齢交流を通して、地域の文化や歴史を体感し学ぶことで、普段の学校生活や部活動とは異なる体験が生徒たちにとって良い刺激になっています。特に、生活態度(時間を守ること、言葉づかい、挨拶の大切さ)などの基本が身につき、自分たちの住んでいる地域を知ることで、郷土に誇りを持つ意識と知識が強くなっている気がします。また、相乗効果として、自治会長さんをはじめ地域の方々から、お年寄りたちとの異年齢・多世代交流やボランティアについて大変感謝され、「これからも安心して学べる環境づくりをサポートしていくから頑張りなさい。」とのお言葉も頂いています。これからは、保護者たちのための特別授業として、沖縄市子ども会や社会福祉団体などと連携し、DV防止対策講座や、認知症サポーター講座、AED講座や防災講座など、親子で一緒に参加する講座が学びの活動と連動し、子縁の関係で地縁が深くなるような仕掛けづくりを実施していく予定です。

  • 異年齢でピアラーニング学習
  • 2wayコミュニケーション型クラスで学びの輪
  • しまくとぅば語やびら世界大会の様子
  • 第9回越来城下町まつり出演の様子
終了報告
NPO法人 Okinawa Hands-On NPO 終了報告の写真

終了報告

201803/23

NPO法人 Okinawa Hands-On NPO 終了報告

[解決したかった現状と課題]

都道府県別子どもの貧困率(内閣府:2012年調査)によると、沖縄県の子どもの貧困率は37.5%(現在29.9%)と全国1位であり大きな社会問題となっています。県内で子どもの貧困率が高いと言われている沖縄市では、様々な社会問題(失業率1位、離婚率1位、高校中退率1位等)が長年続き、特に、子どもの貧困問題は見えない貧困、届かない公的支援の在り方に対しどのような解決策があるかが模索されています。

[活動内容]

異年齢でのピアラーニング(お互いに補い教え合う)や視覚教材を用いて、深く理解することを助け、学校の一歩先を進んだ授業の展開を図りました。また、公民館行事や清掃活動等の地域の方々との多世代交流や、日頃学校では学べない教科書を越えた実践的な学び(地域の課題解決に向けたボランティア交流活動、沖縄歴史・文化体験バスツアー等)をとおし、自己肯定感を生み出し、学習面や生活面の成長に繋がるプログラムを実施しました。

[活動成果]

実施回数:176回、登録人数:26人

「越来尚泰久IGALOO塾」に通うことで、学校で分からなかった事が解決し、学ぶ楽しさに気づき、勉強への姿勢が前向きになりました。自分たちのルーツを学ぶことで、沖縄の文化や歴史に興味関心を示すようになり、郷土愛を育むことに繋がりました。また、地域の方々とも自治会のイベントを通して多世代異年齢交流をすることで、地元に対しての感謝や礼儀の心を築くことができました。

[工夫したポイント]

プロジェクター、新聞記事を用いてディスカッションを行い、社会問題を仲間と共に考え合う多角的な学びを提供しました。また、自治会長や地域の方々に活動紹介をするため、自治会・地域行事へ積極的に参加しました。

[活動の反省点]

このプログラムがきっかけで知り合った異年齢の子どもたちは交流を深めていきましたが、沖縄では保護者間や学校の間で「席次教育至上主義」の考え方が強くなり、当団体の方針にご理解をいただけなかった保護者等から、成績が向上しないとの理由で多くの中学生が途中から参加することができなくなりました。運営の意義や目的を、地域の方々のみならず、近隣市町村の生活が困窮する情報弱者の方々へのPR(Public Communication)活動も推進すべきだったと反省しています。

[今後の課題・展望]

最近、文部科学省で公表された調査で、沖縄県内高校生の不登校者は1510人(前年度比238人増)、中途退学者は1098人(前年対比162人増)で全国一、いじめの認知件数も過去最高の1万2482件に増加していることから、学習支援の対象者を高校生達にも拡げ、今後も自治公民館や児童福祉に携わる方々と連携し、学習支援のみならず、子どもたち一人ひとりが、他者・地域・未来との絆づくりが実現できるよう邁進していきたい。

  • ピアラーニング学習で知識を高め合いました
  • 手作り日本史ワードカードで苦手克服大作戦
  • しまくとぅば(沖縄言葉)創作郷土劇に出演
  • ピア学習支援で異年齢学びの縁づくり
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