[解決したかった現状と課題]
都道府県別子どもの貧困率(内閣府:2012年調査)によると、沖縄県の子どもの貧困率は37.5%(現在29.9%)と全国1位であり大きな社会問題となっています。県内で子どもの貧困率が高いと言われている沖縄市では、様々な社会問題(失業率1位、離婚率1位、高校中退率1位等)が長年続き、特に、子どもの貧困問題は見えない貧困、届かない公的支援の在り方に対しどのような解決策があるかが模索されています。
[活動内容]
異年齢でのピアラーニング(お互いに補い教え合う)や視覚教材を用いて、深く理解することを助け、学校の一歩先を進んだ授業の展開を図りました。また、公民館行事や清掃活動等の地域の方々との多世代交流や、日頃学校では学べない教科書を越えた実践的な学び(地域の課題解決に向けたボランティア交流活動、沖縄歴史・文化体験バスツアー等)をとおし、自己肯定感を生み出し、学習面や生活面の成長に繋がるプログラムを実施しました。
[活動成果]
実施回数:176回、登録人数:26人
「越来尚泰久IGALOO塾」に通うことで、学校で分からなかった事が解決し、学ぶ楽しさに気づき、勉強への姿勢が前向きになりました。自分たちのルーツを学ぶことで、沖縄の文化や歴史に興味関心を示すようになり、郷土愛を育むことに繋がりました。また、地域の方々とも自治会のイベントを通して多世代異年齢交流をすることで、地元に対しての感謝や礼儀の心を築くことができました。
[工夫したポイント]
プロジェクター、新聞記事を用いてディスカッションを行い、社会問題を仲間と共に考え合う多角的な学びを提供しました。また、自治会長や地域の方々に活動紹介をするため、自治会・地域行事へ積極的に参加しました。
[活動の反省点]
このプログラムがきっかけで知り合った異年齢の子どもたちは交流を深めていきましたが、沖縄では保護者間や学校の間で「席次教育至上主義」の考え方が強くなり、当団体の方針にご理解をいただけなかった保護者等から、成績が向上しないとの理由で多くの中学生が途中から参加することができなくなりました。運営の意義や目的を、地域の方々のみならず、近隣市町村の生活が困窮する情報弱者の方々へのPR(Public Communication)活動も推進すべきだったと反省しています。
[今後の課題・展望]
最近、文部科学省で公表された調査で、沖縄県内高校生の不登校者は1510人(前年度比238人増)、中途退学者は1098人(前年対比162人増)で全国一、いじめの認知件数も過去最高の1万2482件に増加していることから、学習支援の対象者を高校生達にも拡げ、今後も自治公民館や児童福祉に携わる方々と連携し、学習支援のみならず、子どもたち一人ひとりが、他者・地域・未来との絆づくりが実現できるよう邁進していきたい。