2018年度ドコモ市民活動団体助成事業 選考結果報告Subsidized List
2018年度ドコモ市民活動団体助成事業 選考結果報告
本事業は2003年にスタートし、これまで、将来の担い手である子どもたちの健やかな育ちを応援する活動に取り組む全国のNPOに対して、15年間で累計847団体に活動資金の助成を行ってきました。
2018年度については、次の考え方により選考等を行いましたので報告します。
1.2018年度の助成事業について
貧困・児童虐待など、子どもを取り巻く状況・環境は、深刻かつ複雑化してきていることから、これらの社会課題に取り組むNPOの事業・活動について、その成果の見える化や拡充等を促すため、次のとおり事業の一部見直しを行いました。
また、子どもに関わる直近の社会問題を特定課題として設定し、これらの予防に繋がる事業への支援を積極的に実施することとしました。
申請書フォーマットの改定
申請団体が解決したい課題について、3~5年後の活動地域の状況を想定した中長期目標を設定し、それを達成するために必要となる1年後(助成期間終了後)の成果目標や達成度合いを測る効果測定手法を明確にすることにより、申請団体自らが成果の見える化を意識した活動に繋げていただくよう、申請書のフォーマットを大幅に改定しました。
助成金額の増額査定
活動成果の普及・拡大等が見込め、社会課題の解決に繋がることが想定・期待される活動については、助成額の増額査定を行い、活動成果の拡充を促すこととしました。
特定課題の設定
東京・目黒区の児童虐待死事件など、児童を対象とした深刻な事件が継続的に発生しており、また、全国の児童相談所への虐待相談件数が年々増加していることから、『児童虐待防止活動』を特定課題として位置づけ、重点的に支援することとしました。
また、被採択団体と連携し、活動成果等についてMCFのホームページから報告を行うこととしました。
2.選考結果について
今年度は、2月26日から3月31日までの公募期間において、「子どもの健全な育成を支援する活動:131団体」「経済的困難を抱える子どもを支援する活動:41団体」と合計172団体からご応募がありました。
これらの応募団体に対して、募集要項の選考のポイントと予算書の内容をもとに書類審査を実施し、上位の団体を対象に全国主要都市において面談審査を行い、その結果を踏まえ、選考委員会における審議において、「子どもの健全な育成を支援する活動:28団体」「経済的困難を抱える子どもを支援する活動:8団体」「特定課題(児童虐待防止)の活動:10団体」の合計46団体を決定後、その中から増額対象の8団体を選定し、総額34,676,000円を助成することが決定しました。
なお、書類・面談審査評価の視点および増額の考え方については、次のとおりです。
書類・面談審査評価の視点
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1活動地域における子どもの現状と課題等の理解
団体が取組むべき当該地域特有の課題や子どもの現状とニーズを的確に捉えているか。
- 2団体が抱える課題の克服
団体が過去の取組の中で抱えてきた課題を的確に捉えた上で、その克服・改善につながる提案になっているか。
- 3具体的かつ現実的な計画
現状と課題を踏まえ、外部のネットワークの活用など、具体的かつ現実的な計画が立てられているか。
- 4目標(活動目標と成果目標)および効果測定手法の設定
活動目標(アウトプット)と成果目標(アウトカム)がそれぞれ明確に設定されているか。また、活動の効果を測定するための適切な手法の提案があるか。
- 5活動の継続性と普及・拡大の工夫
受け手を意識した積極的な情報発信が認められるか。
助成期間終了後も活動の継続性が見込めるか。また、積極的な情報発信をする中で、他地域、他団体への水平展開を含め、活動の成果を普及・拡大させる工夫があるか。
- 6予算の妥当性
申請予算が活動内容と整合し、適正かつ妥当性のある金額となっているか。
助成金額増額査定の考え方
申請活動内容が次の項目に該当し、活動成果の普及・拡大等が見込め、社会課題の解決に繋がることが想定・期待される活動については、助成申請額に対して20%の増額査定を行うこととしました。
- 1受益者・当事者が抱えている課題や特性を把握したうえで、ニーズを的確にとらえている。
- 2子どもに関わる様々な社会課題の解決にむけ、受益者・当事者、地域社会に、より良い変化を効果的・効率的にもたらす活動である。
- 3助成事業で蓄積した知見や効果・ノウハウの普及・拡大が見込める。または、同分野の団体と共有できるロールモデルとなる取組みとして期待できる。
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4面談審査の説明が、的確かつ論理的であり、矛盾が一切感じられない。
また、 活動内容が、先駆的・独創的であり、様々な工夫が盛り込まれている。
3.来年度の助成事業について
選考委員より、今年度の採択結果を踏まえ、2019年度以降の選考にあたっての考え方や方針について明確にすべきとの意見があり、委員会での調整の結果、来年度以降については、助成総額(3,500万円を予定)を上限に50件程度の団体へ支援を行うこととし、テーマごとの助成の考え方等について、以下の方針により実施していくこととしました。
テーマ毎の助成の考え方
- 1経済的困難を抱える子どもを支援する活動について
子どもの貧困対策法(H26.1.17)施行以降、国・地方自治体・NPOなどの様々な取り組みにより、社会的認知が広がり、各地域の活動が活発化していますが、ひとり親家庭等の生活支援や社会的養護の自立支援等について更なる取り組みが望まれていることから、2018年度以降も継続的に実施する。
- 2特定課題の設定について
今年度、特定課題として設定した「児童虐待防止活動」については、重要な社会問題と位置づけ、来年度以降についても継続的な支援を行うこととする。
- 3その他の活動について
前1、2以外の「子どもの健全な育成を支援する活動」については、行政等による支援状況や新たな緊急課題等の状況を踏まえ、見直し等について検討する。
- 4テーマ毎の助成割合の考え方
テーマ毎の助成割合については、前1~3を踏まえ、助成総額を上限に「経済的困難を抱える子どもを支援する活動:10団体」、「特定課題(児童虐待防止活動):10団体」、「子どもの健全な育成を支援する活動:30団体」を基本とし、応募状況等を総合的に勘案のうえ、選考委員会において決定する。
助成金額増額査定について
2019年度以降の増額査定については、2018年度の考え方を踏襲し、継続的に実施する。