[解決したかった現状と課題]
近年、ダウン症のある人たちを取り巻く環境は、かなり改善されました。医療の進歩による合併症等の克服、学習や余暇の充実、就業や社会参加の機会も増えました。しかし、差別や偏見は残っており、希望の就学や就業ができない人もいます。新型出生前検査の導入が社会問題になるなど、ダウン症のある子どもを授かった親たちが、安心して子育てに臨める社会の実現には、多くの課題が残ります。だからこそ、正しい理解を進めるための啓発活動が必要です。
[活動内容]
いただいた助成金で、3月の「世界ダウン症の日」と「ダウン症啓発月間」の啓発ポスター、日本語、英語版のリーフレットの制作と配布を行いました。啓発ポスターは、ダウン症のある人をモデルに毎年制作しており、今年は、静岡の中学生がモデルになりました。また、最新のプロジェクトとして、ダウン症のある赤ちゃんを授かった親御さん向けの母子手帳(子育て手帳)「+Happyしあわせのたね」を新たに制作し、広く配布を実施しました。
[活動成果]
啓発ポスターは約1万枚を印刷、希望者に無料(送料自費負担)で送ったほか、JDS(日本ダウン症協会)の全国53支部・準支部が中心となり、各地の公共の場所等に掲示しました。リーフレットは旧来版の増刷の他、日英2種類を新たに制作しました。子育て手帳は、5600部を印刷し、既に4000部近くを、全国の親御さんや医療・保健・保育関係者等に無料(同)配布しました。PDFでのダウンロード数も2000を超えたことで反響を呼び、多くのメディアに報道されました。
[工夫したポイント]
子育て手帳は、若いお母さんグループが企画し、アンケートで親御さん達の「こんな手帳がほしい」というご意見をいただき制作しました。多くの人に届けるため、ホームページから手帳のPDFがダウンロードできるようにしました。
[活動の反省点]
ダウン症のある赤ちゃんのための母子手帳の無料配布(送料のみ自己負担)は、大きな反響をいただきました。ただ、事務局が少人数体制であるため、発送作業等の負担が予想以上に大きかったです(嬉しい悲鳴ですが)。送料は切手でいただき、発送先の宛名も応募者にラベルサイズの紙に記入して送ってもらうなど工夫しましたが、将来継続して発行・配布を行うためには、増刷資金と、より効率的な配布ルートの確保が必要と感じました。
[今後の課題・展望]
啓発ポスターは、今後も毎年制作・配布していきます。2018年度のポスターは40歳以上のダウン症のある方をモデルにする予定で、すでにJDS(日本ダウン症協会)の会報等で募集しています。年齢の深みを感じさせる姿を全国にお届けしたいと思っています。子育て手帳は5600冊のうちすでに4000部近くが配布済みです。赤ちゃんは毎年生まれてくるわけで、今後も継続的に配布していくための資金源を模索中です。