[解決したかった現状と課題]
相談を寄せる少女たちの多くは虐待、性被害、いじめ、自殺願望など深刻な問題を抱えながらも支援を受けられず、既存の相談窓口や制度からはこぼれ落ち、居場所を失った状態にある。そのまま誰からも守られない状態が続けば自殺に踏み切るリスクが高まるなど、社会的損失も計り知れない。彼女たちがSOSをあげやすくなるよう、周囲の大人の問題に対する意識を高めることをめざし、情報発信を行うことが課題であった。
[活動内容]
これまで相談を受けてきた団体スタッフ、関わりのある支援者、メディア関係者、webデザイナーを中心に、少女たちから届く相談や現状を共有し、内容の整理と身近な問題として意識してもらうための伝え方について話し合った。情報発信のツールとしては、冊子とホームページを作成した。講演会や活動報告会で現状を訴えながら冊子の配布やSNSを利用した拡散を行った。
[活動成果]
冊子、ホームページを公開した2017年1月13日から8月31日までの実績
・講演会:15回、約1,400名・活動報告会:5回、約20名・月別ホームページアクセス数カッコ内は新規率
1月:4,500(45.0%)、2月:7,329(49.8%)、3月:8,997(52.3%)、4月:6,175(37.0%)、
5月:6,292(40.5%)、6月:5,592(54.5%)、7月:5,952(51.0%)、8月:5,497(51.6%)
[工夫ポイント]
本事業では大人に向けた情報発信を行ったが、少女たちの相談のしやすさを損なわぬよう、相談者に向けたメッセージやこれまでに届いた少女たちの思いも記載し、SOSを発信しやすくなるように工夫した。
[活動の反省点]
発信していきたい内容を出し合ったが、関わってきた相談者それぞれの背景があり、一人ひとりの抱えている「生きづらさ」の形が異なることから、情報量が膨らんだ。計画していたよりも内容を整理するための時間が必要となり、冊子とホームページの完成、公開が遅れてしまった。
[今後の課題・展望]
児童福祉法の改正、刑法の性犯罪規定改正、ストーカー規制法の改正等、当団体が対象とする少女たちに関わる社会の動きや変化も見られるが、未だ十分とは言えず、引き続き発信していく必要があると考える。今後は、全国展開も視野に入れた事業として、居場所のない少女たちのための夜の居場所を繁華街の中に作りたいと考え、啓発イベントも開催していきたい。