[活動に至る背景]
中学校へ編入できる年齢を超えて来日する子どもが増加している。日本で勉強を続けるために高校へ進学するには高校受検という高いハードルがあり、そのために日本語、そして教科を学ぶことが必要となるが、民間の日本語学校は対象を18歳以上としていることが多く、費用も高額であり、しかも高校に入るための教科を学ぶことはできない。つまり、15歳を超えて来日した場合、学ぶ機会も場所もなく、保護者も本人も進学に関する情報を得られないのが現状だ。アイデンティティーに揺れのある時期で、年齢的にも社会的つながりも大切である。そんな学齢超過の子どもたちへ日本語を学ぶ機会を提供しながら進路サポートを行うことが急務となっている。
[活動状況]
週に4日、一日4時間の日本語と教科を学ぶための教室を開催している。保護者と本人に日本での進路や就労に関する情報を提供するため、「先輩の話を聞く会」を開催した。そこでは、高校や大学へ進学した8人の外国人の先輩を招き、進路をどうやって決めたか、学校でどんな勉強をしてどんな進路や就職先があるのかなど、具体的な話を聞くことができまた。また、仕事に就いた教室の卒業生や社会人の話を聞き、外国人が日本で就職することについて一緒に考えるワークショップを開催した。地域住民との交流のために高齢者の配食サービスに参加して会場設営や配膳などのボランティアや寒茶を摘んでお茶を作る体験もした。
[成果(アピールポイント含)と反省点]
15歳以上の若者のための日本語教室を、1日4時間、週4日開催した。日本語習得状況に応じて2つのクラスに分けることで効率よく学習することができた。JLPT(日本語能力試験)N4を4人受検して3人合格した。不合格だった1人も不足はわずか4点だった。次回の試験でN3合格を目指して学習を続けている。
日本語教室から3人の若者が今年3月の高校受検を目ざすことになり、国数英3教科の試験対策及び作文面接指導を行っている。教室では折に触れ進学、就労について様々な情報を提供している。日本語の力を付けることと、自らの進路を考えることで、たくさんの若者が将来の見通しを持つことができた。
先輩の話を聞く会では保護者と学習者26人が参加、高校や大学へ進学した先輩8人に話をしてもらった。出身国もブラジル、ペルー、フィリピン、ネパール、中国と多岐にわたり、全日制/夜間定時制/昼間定時制高校や私立大学など様々な学校の話を聞くことができた。終了後のアンケートでは、進路情報がよくわかり、大変参考になったという意見が多かった。会の後にも先輩たちへ色々質問をする様子があちらこちらで見られた。
反省点は、これらの情報提供は、教室の学習者のみを対象に行っていて、ブラジル人学校等その他にも必要と思われるところに対象を広げられなかったことである。