[活動に至る背景]
1990年に日系ブラジル人などを外国人労働者が来日したが、この子どもたちが漢字で表記の学習言語を身に付ける環境が整っておらず、2012年度、日本語指導が必要な外国人児童生徒(日本国籍保有者を含む)は33,030人。その高校進学率は中学校在籍人数の約30%で、きわめて低く、その原因は漢字の未習得だと考えられます。彼らは家庭生活で、抽象的な日本語や学習言語に触れることがありません。一方、彼らは家庭で母語を聞いています。それらの状況に対応した日本語学習教材があれば、彼らの学習が進むと考え、日本語と母語の音の出る漢字カードを制作し、2011年から頒布しています。この製品をアプリすれば、一段と多くの人が学習しやすいと考えました。
[活動状況]
1月末に1,2年用漢字カード257枚分(英語、タガログ語、ポルトガル語、スペイン語、北京語、広東語)を対応でアプリストアにリリースする予定で、6か国語でアプリの説明やキーワード選定をおこなっています。
このカードを使って学習したことが定着したかを確かめるための小テストも用意しました。2択なので、ストレスが少なく繰り返し学習が可能です。フィリピン人、ペルー人、日本語教育の指導者に試用してもらい、フィードバックを受け、改善中です。
[成果(アピールポイント含)と反省点]
成果
外国人児童生徒は漢字習得が困難で、それが元で、学力不振になりやすい。そこで、それに対応する「母語と日本語の音の出る漢字カード(紙ベース)」を作ってきました。これを携帯端末でも学習できるようにとアプリ化を進めてきました。
テスト版が完成したが、まだ未公開です。そこで、テスト版をいろいろな立場の人に使ってもらった際の感想です。
〇紙の漢字カードを使用している学習者にアプリをも使用した人々。
(フィリピン人大人、ペルー人大人、小学2年生、小学4年生、5年生)
感想・・・「おもしろい、小テストがあるので覚えたかどうか確かめることができていい。手軽に漢字学習ができる。1,2年だけでなく3年生以上のアプリも作ってほしい。」
〇日本語指導者・・・「一度やる気をなくした子どもがアプリのおかげでまた漢字学習に取り組むようになった。」
〇日本人大人「スペイン語を学習している。語彙を増やすのにとても適した教材だ。」
課題
〇制作に時間がかかり、当初のスケジュールよりも1ヶ月ほど遅れが出ている。アプリができ次第、ネットや紙媒体で広報を行います。
〇使用者が少なく、当初予想していた通りの学習効果が現れているか、データを集め分析していきます。
〇資金を集め、1,2年版だけでなく、3から6年生版までのアプリ制作のめどを立てたいと思います。