[解決したかった現状と課題]
今の日本の社会は、子どもを妊娠した途端に、今までの生活とはまったく違った情報、生活技術が必要になる。かつてこれらは、家族や地域社会でごく自然に伝承されてきた。しかし、このような枠組みがこわれてしまった人にとって、行政の相談窓口は必ずしも聞きやすい場ではなく、気軽に相談できるところが少ない。こうしたママとパパたちに、より敷居の低い相談場所の提供と、相談しやすいスタッフの育成が課題である。
[活動内容]
「子育て保健室」という誰もが気軽に立ち寄れる場所をつくり、多くの人に知ってもらうことを目的とし、子育ての些細なことも話せる場づくりをめざした。そのため、ガレッジセールやコミュニティカフェといった楽しいイベントを同時開設し、気構えずに来てください、という場にした。「子育て保健室」の必要性を社会に理解してもらい、さらに質の高いスタッフの養成のため、フィンランドの子育て支援の専門家による講演会も開催した。
[活動成果]
「子育て保健室」という状態から、回を重ね、気楽に行けるところ、子どもを遊ばせながら相談し、落ち着ける所が地域の中に浸透し1年でのべ400人以上の方に参加してもらうことができた。3月にフィンランドの子育て支援研究第一人者の髙橋睦子先生とフィンランド大使館の堀内都喜子氏による講演会を開催し、行政や一般の方70人近く集まっていただき、研鑽を深めるうちに、場を開くとともに、スタッフの質を高める重要性を知った。
「子育て保健室」および「ガレッジセール・コミュニティカフェ」の実施日
①2016年9月16日(金)42人(スタッフ11人)、②2016年10月2日(金)32人(スタッフ10人)、③2016年11月1日(月)28人(スタッフ11人)、④2016年12月5日(月)43人(スタッフ10人)、⑤2017年2月7日(火)46人(スタッフ8人)、⑥2017年3月7日(火)53人(スタッフ10人)、⑦2017年4月4日(火)35人(スタッフ10人)、⑧2017年5月2日(火)32人(スタッフ10人)、⑨2017年6月6日(火)40人(スタッフ10人)⑩2017年7月11日(火)31人(スタッフ10人)⑪2017年7月31日(月)21人(スタッフ10人)
・講演会「フィンランドのネウボラから見るわたしたちの子育て支援」:2017年3月17日(金)68人(スタッフ13人)
[工夫ポイント]
①どんな人も子育てについて相談できる場があることを広く知ってもらうために、「子育て保健室」を「ガレッジセール・コミュニティカフェ」というイベントと同時開催した。
②研修のためフィンランドの支援を学ぶ講演会を開催した。
[今後の課題・展望]
「子育て保健室」を開催してみて、ママとパパたちの悩みが多種多様であることに気が付いた。子育てという環境が、多くの親にとってそれまでの人生経験の続きではなく、多くの場合、まったく知らない世界に放り出されたように感じている。この1年の活動で「子育て保健室」という場が認知されてきたので、今後は、それぞれのママとパパたちの悩みに寄りそえるよう、場づくりはもちろん質の高いスタッフの養成に力を入れていきたい。