[解決したかった現状と課題]
愛知県は、日本語指導が必要な外国人児童生徒数が全国1位である。もちろん、愛知県では「日本語が全くわからない子どもへの日本語指導」体制は大方整っている。しかし、定住化が進んでいる現在では、進学・就職といったその先の支援が必要とされている。来日時期が高学年以上の場合、学習言語の習得に困難を抱えていることが多く、高校受験は非常に高い壁となっており、そのような子どもへの支援は十分だとはいえない。
[活動内容]
まず、活動拠点である豊明市とその近隣自治体の学校に広報し、「高校へ行きたいと考えている子ども」の状況把握に努めた。その結果、地理的な状況も鑑み、知立市と豊田市・刈谷市などから、該当する子どもたちへの支援を始めることとした。内容は、基礎学力の定着を目標とし、数学・英語・国語(面接を含む)の3教科にすることにした。
[活動成果]
実施期間と回数:2016年9月~2017年3月までとし、実施回数は、25回。
時間:毎週月曜日(17時~19時30分)
参加人数:22名
国籍:ブラジル8人・フィリピン6人・中国1人・ペルー6人・トルコ1人
高校合格者:全日制6人・中間定時制1人・専門学校2人
この活動を行ったおかげで、6名が全日制高校に進学できることとなった。
[工夫したポイント]
基礎教科支援をする子どもには、伸ばしたい教科を決め、それを学習することにした。計算と単語・文法理解を中心にすることで、基礎を固めることとし、単語帳を作らせたり、宿題を出したりして定着を図るようにした。
[活動の反省点]
この活動成果として、22名の支援ができたことは良かった。しかし、子どもの中には、日常会話程度の日本語力があるにもかかわらず、基礎学力の指導が必要な子どもと、それすらない子どもがおり、講師の配置の面で十分な体制がとれなかったため、途中で退室してしまった子どももいた。講師の手配ができたとしても、週1回の指導では十分な日本語力をつけてあげることは難しかっただろう。彼らの支援が多様になることを改めて痛感した。
[今後の課題・展望]
支援を受けた子どもたちは、理解できることに喜びを感じたようだった。また、全員が高校進学希望者であったため、実際に高校に合格した先輩をみて、あらたにやる気が生まれた子どももいた。今後も、このような教室を継続して開きたいと考えているが、指導者の確保と事業を継続するために、人数制限をしたうえで、経費負担をお願いしていきたいと考えている。