[解決したかった現状と課題]
近年の医療の進歩により、以前であれば、失われていた命がNICU(新生児特定集中治療室)によって救われるようになりました。しかしながら、重い障がいが残るケースも多くなりました。医療的ケア(経管栄養・吸痰・導尿等)を必要とする重度重複障がい児者や家族の生活はたくさんの課題を抱えており、社会からの支援が必要不可欠です。主な介護者である母親は、寝る間もなく子どもの介護を続けています。また、子どもが過ごせる環境は乏しく、家だけになりがちです。
[活動内容]
孤立しがちな重度重複障がい児者やその親たちの「助けて」の声から始まり、地域の様々な職種が集い、市民活動からこの事業が始まりました。そのなかで、医療的なケアが必要なため、生まれてから10年近く自宅で孤立していた方も少なくないことがわかりました。もっと支援が必要な方に知ってもらうため、今回、助成していただいたイベントを行い、より多くの支援を必要としている方に、なちゅらんの活動を周知したいと考えました。
[活動成果]
様々なイベントを6回行い、それぞれ想定人数30人を超える参加者にお越しいただきました。また、イベントの参加者からは、「普通なら当たり前かもしれないバーベキューやクリスマスなど、季節の行事も家族だけでは難しいと諦めていました。本人だけでなく看護師さんがいることで家族みんなが楽しめました」、「同じ境遇を待ち、共感できる親御さん同士の交流ができたことは心強いものになりました」との声をいただきました。
[工夫したポイント]
参加しやすい雰囲気作り、安全確保と家族も楽しめるための人員配置、情報が届きにくい方への周知の方法等を工夫しました。
[活動の反省点]
支援の届いていなかった方々に、なちゅらんの活動を知っていただくこと、および本人の参加や家族のレスパイト等は、目標を達成できたと思います。しかしながら、地域の方々にも、なちゅらんの活動により重度重複障がい児者の現状を知ってもらうためのアプローチがうまくできず、地域の方々の参加が少なくなってしまいました。また、体調等の理由で遠方からの参加が難しいため、今後、各地域に展開していく必要を感じました。
[今後の課題・展望]
重度重複障がい児者とその家族に、当たり前のことを当たり前にできる機会を定期的に提供していきたいと思いました。これからも終わることのない介護をする親たちのレスパイトを図り、心身ともに健康な介護の支援をし、重度重複障がい児者には一人ひとりに寄り添った生活をお届けしていきます。