[解決したかった現状と課題]
現在、特別支援学校や、特別支援学級のカリキュラムにおいて理科実験はあまり重要視されていない。また、不登校児童に対しても有効な教育カリキュラムが見出されていないのが現状である。我々は科学実験が、スポーツ、絵画、音楽などと同様に、障がい児童や不登校児童等にとって有効な教育的手段であると考え、科学実験を通じて感動や喜びを与え、児童の生きる力を高める事をねらい、本事業を提案した。
[活動内容]
1)実験教材の開発:色鮮やかな現象や、変化に富んだ動く現象に児童が自ら触れ、論理的思考が芽生え、発展するように実験内容を吟味し実験プログラムを開発した。 2)体験型実験教室の開催:特別支援学校、適応学校(教室)児童・生徒に対して実験教室を開催した。 3)全体会議形式の運営:事業を広く知ってもらい、かつ助言を受けるために、福井県内のいろいろな関係機関から委員を派遣していただき、事業の計画・評価を行った。
[活動成果]
1)支援学校:2回、参加数:135人
2)適応学校:4回、参加数:41人
3)一般公開(知的障がい児童・生徒対象):2回、参加人数:76人
4)実験教材の寄贈:実験教室を実施した学校・教室に実験器具を寄贈
5)地域の新聞に掲載: 日刊県民福井 2回、 朝日(福井版) 2回
6)実施報告書冊子:全40ページ
7)DVD作成:(第8回を14分間の映像にまとめ科学映像館より公開)
8)実験テキスト公開
[工夫ポイント]
1)出前形式と一般公開の2つの方法を採用したため、相応の参加人数が確保できた。
2)実験器具は当団体で開発・製作したもので、心のこもった手作り実験器具を用いたことで、児童・生徒が親しみを感じた。
[活動の反省点]
1)実施する実験内容と展開において、児童・生徒の個々の能力や障がい特性、および精神面を十分考慮して行うことが一層重要である。
2)支援学級等に出向いての体験型実験を提案したが、実現できなかった。教育行政と教育関係NPOとの効果的な連携は今後の課題である。
3)体験活動の様子を映像に収めることは、大部分の児童・生徒の場合問題があり、実践活動実績を蓄積・展開する上で困難さがある。
[今後の課題・展望]
1)実験教材の開発:今回の事業では 「まさつのない運動の実験」、「シャボン玉の実験」、および「空気砲の実験」を開発したが、今後も、一般の学校教育における理科教育(科学教育)とは異なる視点で実験テーマの選択、および実験実施方法の開発を続ける。
2)普及活動:科学実験は、楽しく感動的で、かつ論理的思考を訓練する格好の場であることを、より多くの人々に知ってもらうため、県内、県外で実践活動を行う。