[解決したかった現状と課題]
加害者の家族は、様々な問題を抱えるが支援の対象とみられてこなかった。そして、加害者家族の子どもが抱える問題は多いが、子ども本人や家族自身で解決しなければならない。そこで本活動では、加害者家族及び、その家族に含まれる子どもたちを支援対象とした。個別支援を行い、司法・心理・福祉・教育などの専門分野において加害者・加害者家族の子どもたちの「理解者」「協力者」を増やしていくことが重要な課題であると考えた。
[活動内容]
①24時間対応の電話相談窓口の開設
②加害者家族のピアカウンセリング
③弁護士、臨床心理士、社会福祉士等の無料相談会
④主に教育・司法・矯正関係者を対象として、加害者・加害者家族の子どもへの支援をテーマとしたシンポジウムを実施した。また必要に応じて、個別カウンセリングや家庭訪問、支援機関への同行なども行った。
[活動成果]
①電話相談:52家族からの相談を受けた。
②ピアカウンセリング:6回実施し、延べ54名の参加があった。そのうち、子どもの参加者は延べ8名であった。
③無料相談会:6回実施し、延べ21回の個別相談を行った。
④シンポジウム:1回実施した。シンポジストとして、元学校長、児童相談所職員、弁護士等を招集した。教育・司法・矯正の専門家や関係者など50名の参加があった。
[工夫したポイント]
シンポジウム開催にあたり、大阪市内の公立学校約400校、弁護士事務所約100か所に周知した。また、複数の新聞にも掲載され、団体の周知や関係機関との連携の強化を図った。
[活動の反省点]
遠方からの相談も多く寄せられ、電話相談のみでは十分な対応ができていたとは言い難いケースがあった。また、加害者本人への支援を求める声も多いが、支援員の時間的制約などもあり、対応に苦慮した。個別的な相談を求める家族もいるが、相談場所の確保や支援員の配置、継続的な支援の提供などに課題が残る。
[今後の課題・展望]
非行・犯罪の発生件数に対して相談数はまだ少なく、問題を抱える家族の潜在数は多いと考えられる。そのため、さらなる団体の周知を行うこと、関係機関と連携をすることが課題と言える。十分な支援を行うためには各地に支援員を配置し、緊急的な問題であっても対応できるようにする必要がある。また、加害者本人に対しての支援をより充実させることは、家族の安全、安定に繋がるため充実させる必要もあると考えられる。