[解決したかった現状と課題]
「色覚問題」は「理解しなければならない」と国も位置づけています。(2015年度文部科学省通知)。色覚弱者は日本人男性では20人に1人の割合で存在します。日常生活ではあまり支障はありませんが、多くの人にとって見えやすい色使いで社会が形成されているため、社会生活のスタートである学校生活では、不便や苦労が多くなります。視力が各々違うように色覚も各々違います。色の見え方に違いがあるのは「個性」ということを相互に理解することが必要です。
[活動内容]
2015年度ドコモ市民活動団体助成事業では、小学校低学年の色覚多数派も少数派も保護者も分かりやすい絵本「けんちゃんの色」を制作しました。今回は小学校高学年~中学校でも色の見え方が違うのは「個性」ということを、DVDを見ながら話し合うきっかけづくりになるように、アニメ動画を制作しました。
[活動成果]
アニメ動画制作会議を、月に2回の割合で行いました(昨年11月~今年8月)。試写会には、制作者と学校関係者、行政、一般企業の方々にも参加していただき(計50名)、さまざまな意見をとり入れながら制作し、8月24日に最終試写会を実施しました。実際にDVDを見ていただくのはこれからとなりますが、来年1月には、このDVDを使って小学校6年生の授業が行われます。
[工夫したポイント]
広範に色覚問題を表現することは難しく、結果として色覚問題入門編にしぼりました。制作者の中心人物に色覚少数派の方を選び、経験を活かしながら制作を委ねることとしました。
[活動の反省点]
アニメ動画は専門家集団に制作してもらいながら、月2回の会議を行う進行で予想外に時間がかかりました。また、複数の作り手が関わらなければならなかったため、専門家集団とのコミュニケーションを図ることは大変でした。
[今後の課題・展望]
色の見え方に違いがあるのは「個性」であり、相互に理解することが必要です。既存の絵本「けんちゃんの色」と、アニメ動画「不思議の色の国のアリスちゃん」を活用し、行政や学校等と連携しながら、子どもたちが見え方の違いで不便や苦労しないよう、安心して学校生活が過ごせるように、顔も性格も感じ方もそれぞれ違うように、色の見え方もみんな違って当たり前であるということを、易しく広げるための環境作りに取り組んでいきます。