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ドコモ市民活動団体助成事業

公募による市民活動団体への活動資金の助成事業

Activity Report

『NPO法人 傾聴ネットキーステーション』様熊本県 / 助成金額:500,000円

目録贈呈の様子

活動名

熊本地震における被災者の心に寄り添う傾聴活動

概要

県内被災地における避難所での被災者は、狭い空間で様々な拘束を受けながらの避難生活に疲れと今後の生活再建への不安、住み慣れた地域や人々との別れによる環境の変化など、たくさんの精神的不安を抱えています。
発災後から現在に至るまで、避難所で被災者に対しただひたすら優しく話を聴かせていただく傾聴活動をするなか、「話をじっくり聴いてくれたから元気が出ました」と話された後は、みなさん少しづつ明るく元気になられていかれました。
これから、みなし仮設住宅や仮設住宅での新たな生活は、新しい住民との人間関係をつくるうえで、コミュニケーションが苦手な人や高齢者をはじめとする被災者の孤立化を作らないためにも、長期にわたる支援活動として地道な傾聴の訪問活動が被災者の心のケアのお役に立てることができたらと思っています。

終了報告
宇城市内仮設住宅集会所での茶話会

終了報告

201709/29

NPO法人 傾聴ネットキーステーション 活動報告

[活動の概要]

平成28年10月より実施した「熊本地震における被災者の心に寄り添う傾聴活動」は、被災地の仮設住宅の被災者の見守りを、熊本県や熊本市から委託を受けた熊本市社会福祉協議会の支え合いセンターや他団体と連携しての活動をおこなってきました。

熊本市城南町仮設;名簿を頂いた独居老人の居宅訪問活動(4名でペアを組み訪問)し、支え合いセンター相談員との情報共有を行いその後の支援につなげました。      

御船町:21か所の仮設住宅団地を対象とした茶話会を月2回~3回開催し被災者への傾聴活動をおこないました。

その他、宇城市、大津町、また、大津町に設置されている南阿蘇仮設住宅などの被災者と「みんなの家」で傾聴活動や被災した高齢者施設での傾聴活動を実施しました。

◆活動者数     延べ168人

◆活動日数     97日 (平成28年10月~平成29年3月)

◆傾聴人数     訪問および茶話会等参加者数 485人

◆活動市町村   毎月5か所  熊本市2か所、宇城市、御船町、大津町(南阿蘇仮設含む)

また、宇城市では、支え合いセンター相談員に向けての傾聴研修を依頼され、支援者に向けての支援も行いました。

  • 宇城市内仮設住宅集会所での茶話会
  • 熊本市内避難所はあもにいでの茶話会

【10月】

仮設が設置されたものの、見守りの委託を受けた社会福祉協議会などの組織体制や雇用した相談員の研修などもあり、受け入れ準備に時間がかかり、思うような活動が開始できませんでした。熊本市支援活動会議(行政、仮設周辺地域自治会役員、仮設責任者、支援団体、見守り支援受託者)に会員とともに出席。仮設住宅での支え合いセンター相談員との打ち合わせと相談員の傾聴。

宇城市は、法人会員と傾聴講座の受講生による仮設住宅での傾聴活動開始。

【11月~3月】

熊本市塚原仮設団地での独居老人などの名簿から訪問傾聴活動。

御船町で月2回~3回の茶話会開催しながらの傾聴活動。 

熊本市の施設では、みなし仮設対象者の茶話会を毎週月曜日開催しながらの傾聴活動。

被災者の居宅訪問を中心に行う予定でいましたが、熊本市の仮設住宅を除いた、他地域(御船・南阿蘇・宇城市・大津町等)では、行政・社会福祉協議会・自治会・仮設の責任者などの連携不足や受け入れ側組織の様々な課題や組織体制もあり、法人独自での訪問が許可されず茶話会中心の傾聴になりました。

その後のスケジュールは、熊本市の支え合いセンターから依頼され実施した法人単独の居宅訪問での傾聴、また他地域では、他団体との協力で茶話会を定期的に開催することができました。チラシで茶話会の案内も作成しました。

また、他の団体と協力した茶話会の内容も様々に工夫しながら、出来るだけ被災者の主体性が生まれるような茶話会を計画し、ものづくり、足湯、ホットケーキ作り、たこ焼きづくり、絵手紙講座、AED講習など傾聴会員も一緒に作ったり体験したり講習を受けたりする中で、楽しい時間や一緒に乗り越えようという思いを共有する中で少しずつお話を聴かせていただけるようになりました。

熊本市内の仮設では、独居老人の居宅訪問や日中ひとりでいる被災者への訪問を二人一組で丁寧にすることができ、支え合いセンター相談員や仮設の自治会役員との情報共有で連携をとり孤立者を出さないようにしました。

宇城市では、支え合いセンター相談員が多くの被災者への接し方に限界があり、社協より「傾聴の研修」依頼を受け実施しました。研修後参加者からは、「指導員にはなったものの、しだいに被災者との対応に限界で悩んでいたが傾聴を学べたことで、今後の被災者への対応に役立てたい」との声もありました。

大津町では、ベテランの傾聴会員が「みんなの家」や被災した老健施設などにも定期的に出向き、被災者の心のケアを行ってきました。

<成果>

傾聴は、ただお話を「聞く」というものではなく、相手の心をありのまま受容・共感し、誠心誠意で相手の心に寄り添いきちんとお話を「聴く」ことです。だから話をされた方は、心が軽くなり喜ばれます。

被災者は、思ってもみなかった仮設での現実の生活が始まった当初から、見知らぬ支援団体への戸惑いや生活への悩み、寂しさ、不安、住宅内でのコミュニケーション問題などなど、様々な心のつぶやきや苦悩を聴かせていただき、現実の厳しさと立ち向かいながら日々の生活を過ごされています。

そのような中でも、仮設住宅での支援活動を開始して半年、次第に茶話会を通じて顔なじみになり信頼が出来つつあるなかで、「ありがとう」「元気が出た」「楽しかった」「あなたたちも大変だね」などと支援者に対して感謝の言葉やねぎらいの言葉をかけていただく一人一人の顔に、元気になっていかれている様子を垣間見ることが出来るようになったことは本当に嬉しく思い、被災者の心に少しでも寄り添うことが出来たのではないかと思っています。

茶話会を通じて、仮設の住人たちが初めて顔を合わせ、挨拶をするところもあり、どこか緊張感が感じられる様子でした。傾聴の会員が被災者のそばに寄り添い一人一人の思いをゆっくりと聴かせていただきお話が進む中で笑顔になっていかれる様子に、来てよかったと安堵感を覚えました。

また、熊本市内の仮設では「話すことなどない」と言われた高齢者も、訪問回数を重ねることで、今では傾聴の会員が訪問することを楽しみに待っていただけるようになったことや、事情があって離れて暮らす子供さんたちからも感謝されました。震災前に書道を教えておられた被災者は、震災後「筆」を持つ気持ちを失われていましたが、傾聴会員の訪問活動の中で心を開かれ、「今だからできることをしようと思えたのは傾聴さんのお陰」と言われ、その後、仮設の子どもたちに「書」を教えられることになりました。

ひとり暮らしの高齢者、老々介護の高齢者夫婦、若いお母さんたちなど弱者と言われている人々に対し「傾聴」が必要であり重要であることを再確認しました。

  • 御船町旧七滝中仮設住宅での茶話会
  • 御船町落合仮設での茶話会

<反省点>

熊本市内では、仮設のスタートに当たって、地域、行政、見守り受託者、仮設責任者、支援団体との合同会議があり、傾聴活動も予定通りで行うことが出来ました。しかし、御船町では、受け入れ側(社会福祉協議会や社協からの委託者)の都合で、二人体制をとっていた訪問が出来ず茶話会のみでの傾聴に、参加した会員がお一人お一人からじっくりお話を聴かせていただく時間が出来なかったのが大変残念でした。

<今後の課題>

・全体として、突然の大震災で、行政を始め現場では対応・対処に戸惑いが多々あり、受け入れ態勢が出来ない事には支援団体も勝手に動けない状態でもありました。支援活動体制が団体側に出来ていても、自由に現場で活動できない状態は、被災者への支援が遅れることから、受け入れ側と支援側の話し合いや情報共有しながらの連携は、スピーディに行うことや、発災に対する日頃の防災会議などを行うことが大事だと思いました。

・行政を始め、もっと多くの人に「傾聴」の重要性を知っていただくことが必要と思いました。また、今回のように、被災者が多数であったことに対する心のケアとしての傾聴の役割の重要性からみて、傾聴ボランティアの育成に今まで以上に取り組む必要があると思いました。

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