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ドコモ・モバイル・サイエンス賞

移動通信・情報通信の研究開発等の業績に対する褒賞事業

Winner / Ceremony

第16回(2017年)

第16回ドコモ・モバイル・サイエンス賞 授賞式

2017年10月20日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて第16回ドコモ・モバイル・サイエンス賞の授賞式を開催しました。

先端技術、基礎科学、社会科学の三部門で22件の応募があり、選考委員会(選考委員長:東京大学名誉教授・羽鳥光俊氏)での厳正かつ公平な審査の結果、「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」の三部門で3名が優秀賞を受賞しました。

羽鳥委員長からは、「今後の情報通信の発展のみならず、異分野との共創をさらに推進し、社会的問題の解決にも寄与する価値ある業績が選ばれた」と講評がありました。

授賞式には、文部科学省 研究振興局長 関靖直様、NTTドコモ代表取締役社長 吉澤和弘様をはじめ、多くのご来賓にご出席いただきました。

先端技術部門の受賞記事です

優秀賞ネットワーク仮想化技術の研究開発

東京大学 大学院情報学環 教授・学際情報学専攻長中尾 彰宏(ナカオ アキヒロ)氏

授賞理由

ネットワーク仮想化におけるSDNの技術としてコントロールプレーンをソフトウェア化する"Open Flow"が米国において提案され、開発・商用化が進められてきたが、中尾氏はデータプレーンをもソフトウェア化する Deeply Programmable Network(DPN)を世界に先駆けて提唱し、それを実証する仮想化ノード"Vnode"プロジェクトをNICT委託による産学連携プロジェクトのリーダとして推進した。また、FLAREと称するNetwork Softwarization基盤となるノードを試作し、ベンチャー企業から提供を開始している。さらにITU-T、ETSI、3GPPなどにおけるSDN/NFVの標準化にも積極的に参加し、貢献している。コントロールプレーンの仮想化は従来のTCP/IPやEthernetなど既存プロトコルを対象としたものであったが、中尾氏のDPNは新しいプロトコルにも柔軟に対応できるデータプレーンのネットワーク仮想化の手法であり、今後第五世代移動通信(5G)やIoT時代において多様化する情報通信サービスに対応する柔軟な通信基盤の実現に大きく貢献することが期待される。

受賞の言葉

中尾 彰宏氏
東京大学 大学院情報学環 教授・学際情報学専攻長中尾 彰宏(ナカオ アキヒロ)氏

ネットワーク仮想化技術において、コントロールプレーンのみならず、データプレーンをもソフトウェア化する技術を提唱し、それを実証する仮想化ノードを、産学連携プロジェクトのリーダとして推進したことを評価していただき、大変感謝している。ネットワーク仮想化、および、プログラマブル・ネットワークは、第五世代移動通信(5G)時代に、新しいプロトコルやサービスを実現していくためのキーテクノロジーである。

基礎科学部門の受賞記事です

優秀賞シート型センサシステムの構築とその応用

大阪大学 栄誉教授・産業科学研究所 教授関谷 毅(セキタニ ツヨシ)氏

授賞理由

関谷氏は、「有機材料の柔らかさを活かしたフレキシブル・ストレッチャブルエレクトロニクス」の作製プロセスを確立し、世界に先駆けて大規模集積化に成功した。また、この技術を活用することで、大面積センサシステムやアクチュエータを実現し、その有用性を世界で初めて実証した。

IoT時代を迎えて、シート型センサシステムは、情報通信分野をはじめ医療、福祉、社会インフラ等広範な応用展開が期待されている。関谷氏は、2016年9月には大阪大学発のベンチャー企業PGV株式会社を設立し、IoT時代の新しいセンサシステムとして、家庭での手軽な脳活動計測(パッチ脳波センサ)や妊婦・胎児の状態計測による遠隔診断、道路や橋等の構造物老朽化の24時間監視など、実用化に向けた取組みを進めている。今後は、「フレキシブル・ストレッチャブルエレクトロニクス」の研究開発を通じて、企業や医療機関などとの連携による異分野共創をさらに推進し、社会問題の解決に寄与することが期待される。

受賞の言葉

関谷 毅氏
大阪大学 栄誉教授・産業科学研究所 教授関谷 毅(セキタニ ツヨシ)氏

「有機材料の柔らかさを活かしたフレキシブル・ストレッチャブルエレクトロニクス」の作製プロセスを確立し、その有用性を世界に先駆けて実証した。具体的には、エレクトロニクス、材料工学、IoT通信、情報処理等の技術を組み合わせて、シート型のセンサシステムを実用化した。このシートを貼るだけで、脳の活動を家庭で計測したり、出産タイミングを妊婦に知らせたりできる。次世代遠隔医療への道を開くものである。

社会科学部門の受賞記事です

優秀賞人と関係を構築してコミュニケーションするロボットの実現

慶應義塾大学 理工学部 教授今井 倫太(イマイ ミチタ)氏

授賞理由

今井氏は、人とロボットの関係性という心理的側面に着目し、人工知能アルゴリズムを用いたロボットを設計した。また、人とロボットが同じ対象に注意を向けコミュニケーションする、共同注意現象を実現するロボットの振る舞いについて、世界に先駆けて示した点が評価できる。

人とロボットの関係性構築というテーマが果たす役割は、今後、より重要性を増しつつある。人とロボットのインタラクション研究で得られた知見は、高齢者の遠隔支援等、現実社会における人同士の遠隔コミュニケーションを円滑にする取り組みにも有効と考えられる。ロボットが人間にとってどのような望ましい存在となり得るのかについては、本研究のようなアプローチが一つの示唆を提供すると期待できる。

受賞の言葉

今井 倫太氏
慶應義塾大学 理工学部 教授今井 倫太(イマイ ミチタ)氏

「人とロボットとのコミュニケーション」というテーマに、25~26年にわたって取り組んできた。今回は、人とロボットが同じ対象に注意を向けてコミュニケーションする「共同注意現象」を実現するロボットのふるまいについて、世界に先駆けて示したことを評価していただいた。自動運転、IoT家電など、人間の生活が自律性の高いITに取り囲まれていくなか、ロボットと直接わかりあえるインタラクションはますます重要になると思う。

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