受賞者・授賞式Winner / Ceremony
第17回(2018年)
2018年10月19日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて第17回ドコモ・モバイル・サイエンス賞の授賞式を開催しました。
先端技術、基礎科学、社会科学の三部門で21件の応募があり、選考委員会(選考委員長:東京大学名誉教授・羽鳥光俊氏)での厳正かつ公平な審査の結果、「先端技術部門」「基礎科学部門」で優秀賞各1件、「社会科学部門」で奨励賞2件で8名が受賞しました。
羽鳥選考委員長からは、「いずれも、今後の移動通信技術の発展に寄与する有意義な研究である」と講評がありました。
授賞式には、文部科学省 研究振興局長 磯谷 桂介様、NTTドコモ代表取締役社長 吉澤和弘様をはじめ、多くのご来賓にご出席いただきました。
奨励賞情報科学による植物との対話に基づく革新的農産物栽培手法創出の研究
授賞理由
最新の工業技術力を農業分野に活用して栽培管理システム等の研究開発を続ける欧米諸国に対し、日本では、超高齢化社会の進展に伴い、卓越した生産技術をもつ農家のリタイアや後継者不足による厳しい状況が続いている。
峰野氏は、無線センサネットワークの応用分野として農業ICTに着目し、人工知能技術を含めた情報科学技術を導入。熟練農家をはじめ、農学、植物生理学等の知見を融合して、暗黙知と呼ばれる匠の技の本質を定量化し、形式知化することを目指している。これにより、新規就農者や高齢者でも容易に植物との対話に基づく栽培を実現できる基盤技術の創出が期待される。また、要素技術の幅広い産業応用も期待され、社会的意義は大きい。
受賞の言葉
IoT、AIの応用分野として農業に着目した。無線センサネットワークを駆使して植物に関するさまざまな情報を収集・分析することで、灌水に関する熟練農家ノウハウの定量化・形式知化に成功。社会実装に向けたAI栽培の実験を進めている。新規就農者や高齢者でも容易に植物と対話しながら栽培できる手法を確立したい。
奨励賞社会科学と数理科学の融合による社会システムデザイン方法論の研究
授賞理由
大堀氏らは、多様な社会的課題に対し、数理研究者が社会科学的知見を積極的に取り入れつつ数理技術によって解決するという、新たな社会システムデザインの方法論を構築した。
さまざまな問題関与者を含む社会的課題は、その問題構造の複雑さから、技術だけでの開発が困難な場合も多く、最先端のAI技術を開発しても社会実装に至らないケースが見受けられる。
応募業績は、保育所入所支援や都市混雑緩和、移住定住支援などの具体的な社会課題に取り組み、実現場での問題発見から数理技術による対策・評価への過程を実証することで、社会受容性の高いシステムの設計に成功した点が高く評価できる。
受賞の言葉
社会科学の課題を解決するために、数理技術者・AI研究者自らが現場へ入ってヒアリングし、問題を発見し、数理技術を適用しながら解決策を探る「ソーシャル数理」という研究分野を立ち上げた。すでに、空港の混雑緩和、地方都市の移住定住支援、保育所入所支援などで実績を重ねている。