1993年に開発されていた青色LEDの高効率発光のメカニズムについて、1996年に新たに「局在励起子発光 モデル」を提案し、窒化インジウムガリウム(InGaN)のLEDがなぜ結晶内の転位密度が大きくても強い発光を呈するかを解明した。
さらに窒化物半導体に特有な分極電場効果と励起子局在効果を定量的に説明する研究を推進し、有力誌に発表するなど、独創的な成果をあげた。
また、窒化ガリウム半導体デバイスは低消費電力の特長から、環境にやさしいシステムの実現に大きな貢献が期待されており、青色LEDの理論面で大きなインパクトを与える業績を上げた。
奨励賞1普及過程における情報伝播ネットワークの不均一性と価値転換現象の構造分析
―需要側が牽引するイノベーションの可能性―
<代表者> 株式会社博報堂イノベーション・ラボ 上席研究員
鷲田 祐一(ワシダ ユウイチ)氏
授賞概要
ハイテク製品の普及過程の解明と「価値転換現象」により、需要サイドからイノベーションが発生するメカニズムを明らかにした。従来の普及過程論を修正し、さらにネットワーク論と組み合わせて新しいモデルを提示している点を評価した。 また、需要サイドから供給サイドへの影響力を正当に評価し、両者の相互作用から、イノベーションが生ずることを理論化し、かつ実証した成果は大きく、携帯電話を例に実証した点にも注目した。
奨励賞2国際電気通信市場における制度形成と変化
―腕木通信からインターネット・ガバナンスまで―
西岡 洋子 (ニシオカ ヨウコ) 氏
授賞概要
国際電気通信の発展と変容の過程と方向性を、比較制度論の立場から歴史的に明らかにした。 歴史研究として、過去の資料を的確に収集し、まとめている点を評価した。 こうした研究は、後々の研究のための基準ベースとして役立つものと考えられる。