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ドコモ・モバイル・サイエンス賞

移動通信・情報通信の研究開発等の業績に対する褒賞事業

Winner / Ceremony

第20回(2021年)

 

このたび、「第20回ドコモ・モバイル・サイエンス賞」の3部門で27件の応募があり、選考委員会(選考委員長:東京大学名誉教授・羽鳥光俊氏)での厳正かつ公平な審査の結果「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」の優秀賞の受賞者を決定しましたので発表いたします。

先端技術部門の受賞記事です

優秀賞リアルタイムシミュレーションとセンシングの融合によるリアルタイム 災害科学の創成

【グループ代表】

東北大学 災害科学国際研究所 教授越村 俊一 (コシムラ シュンイチ)氏

東北大学大学院 理学研究科 准教授太田 雄策(オオタ ユウサク)氏

東北大学 災害科学国際研究所 准教授マス エリック 氏

授賞理由

越村氏のグループは、リアルタイムシミュレーションとリモートセンシングの融合により、災害発生直後の社会的影響を迅速に明らかにする「リアルタイム災害科学」を提唱して、その学理の確立と深化に取り組んでいる。特に顕著な業績として、スーパーコンピュータを用いた世界初の「リアルタイム浸水被害予測システム」の実用化が挙げられる。津波被害の予測において、事前計算を基にしたデータベースに基づく予測が従来のアプローチであったところ、スーパーコンピュータによるリアルタイム解析の自動化と、陸上への浸水・被害程度を量的に予測するという点でアプローチを大きく変革した。今後発生が危惧される巨大地震・津波への備えとして内閣府の総合防災情報システムにも採用され、今後の世界的な展開も期待される。

社会的課題の解決に直結する通信技術の応用形態であり、これまでの社会貢献、将来性共に大きいといえる。リアルタイム災害科学の発展に伴って通信技術・デバイスの対災害性能向上にも繋がりうるなど、幅広い技術分野への波及効果も見込まれる。地震学のみならず計算機工学など他分野との学際連携、企業との共同研究も積極的に実施し、オープンイノベーションの実例としても評価されている。

受賞の言葉

マス エリック 氏 越村 俊一 氏 太田 雄策 氏
東北大学 災害科学国際研究所 教授越村 俊一 (コシムラ シュンイチ)氏
東北大学大学院 理学研究科 准教授太田 雄策(オオタ ユウサク)氏
東北大学 災害科学国際研究所 准教授マス エリック 氏

この度は栄えある賞を頂戴し、大変光栄に存じます。我々は、東日本大震災の教訓をもとに、多くの方々との協働を通じて、リアルタイム災害科学という学術研究と研究成果の社会実装に取り組んでまいりました。新たな災害情報の価値を創造することで、災害に強い社会の実現に向けて貢献していきます。今回の受賞を励みに、一層の努力を継続していきます。

基礎科学部門の受賞記事です

優秀賞光を用いた非接触原子スケール平滑化手法がもたらすスマートコミュニティ

豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 教授
八井 崇 (ヤツイ タカシ)氏

授賞理由

八井氏は、光による、非接触かつ原子レベルでの物質表面平滑化手法を開発した。光電子デバイスは表面の粗さによってエネルギーロスが増大するためその平滑化が求められるところ、従来の機械研磨法を主とする表面平滑化技術は、基板の一部が原子レベルで平滑されても、研磨傷が残るなどの問題を解決できないという問題点があった。八井氏の開発した手法は、長波長光を用いることでこれを解決するものであり、顕著な新規性・革新性が認められる。

受賞の言葉

八井 崇氏
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 教授八井 崇 (ヤツイ タカシ)氏

この度は栄えある賞を受賞することができ、感激しております。審査してくださった先生方に感謝申し上げます。私は学生時代から長年に渡り、ナノ寸法の光が有するユニークな性質を使った表面平滑化の研究に取り組んでまいりました。未来のスマートコミュニティに貢献できるよう、高い志を胸に、一層研究、開発に励んで行きたいと思います。

社会科学部門の受賞記事です

優秀賞情報通信技術の導入が困難なインフラ圏外空間を対象とした情報デザインとIoTの研究

東京大学情報基盤センター・同 空間情報科学研究センター 教授
小林 博樹 (コバヤシ ヒロキ)氏

授賞理由

小林氏は、環境音情報から野生動物センサを遠隔制御できる生態学的コンテキストを発見し、インフラ未整備の環境下において野生動物の行動を計測するシステムを構築してきた。

福島第一原発事故後の立入禁止区域内において、電源の持続困難性などの諸課題があり、情報空間と生態系を一体化して把握することが困難だったところ、氏はセンサ技術、空間情報科学、深層学習、獣医学的知見を統合し、高度に学際的な観察手法を確立した。環境問題にアプローチする際、従来は十分に観測できなかった動物の活動生態系を情報空間に組み込み、情報学と生態学を分かちがたく一体化する意義は大きい。環境問題への情報科学の新たな貢献、新たなアプローチを展開している。

研究成果は環境行政のみならず情報デザイン分野にもインパクトを及ぼし、今後更なる波及効果、社会・産業への将来的影響が大きいものと考えられる。ネパールにおける野生動物関連犯罪対策への応用に加え、学会活動・留学生支援などの社会的貢献も特記すべきである。

受賞の言葉

社会科学部門の受賞者の写真
東京大学 情報基盤センター データ科学研究部門 教授・部門長小林 博樹 (コバヤシ ヒロキ)氏

この度は栄えある賞を賜りまして、身に余る光栄でございます。審査いただいた先生方に心より御礼申し上げます。趣味として始めた活動ですので、そもそも研究として成り立つかどうかもわからず手探りで続けて参りました。今回の受賞を励みに、この研究を発展させ、新しい社会創造へ繋げていけるよう努力を続けたいと思います。

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