受賞者・授賞式Winner / Ceremony 第8回(2009年) 第8回ドコモ・モバイル・サイエンス賞の授賞式は、2009年10月16日(金)に東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催されました。 文部科学省 研究振興局 局長の磯田文雄様、NTTドコモ アドバイザリーボード議長で株式会社東芝 相談役、株式会社東京証券取引所グループ 取締役会長兼代表執行役の西室泰三様、MCF前理事長で宇宙航空研究開発機構 理事長の立川敬二様など多数のご来賓をいただきました。 先端技術部門 基礎科学部門 社会科学部門 先端技術部門の受賞記事です 優秀賞ユビキタスネットワークに関する先駆的研究~センサ/モバイル/光ネットワーク基盤の構築~ 東京大学 先端科学技術研究センター 教授 森川 博之(モリカワ ヒロユキ)氏 授賞理由 実社会と仮想社会を結びつけるセンサネットワークに注目し、センサデータからユーザのコンテキストを推定し、ユーザに有効なサービスを提供するコンテキストアウェアーサービスの先駆的研究を推進した。具体的にはセンサ屋内測位システム、無給電無線センサデバイス、地震モニタリングシステムなどの実証実験を含めた開発を推進した。 また、ユビキタスコンピューティングが注目される以前から実社会と仮想社会の統合を目ざす研究に着手し、未来開拓プロジェクトや総務省ユビキタスネットワーク受託プロジェクトの中心研究者の一人として、産学連携でユビキタスネットワークの先駆的研究を先導し、ユビキタス社会を構築する基盤技術の研究を推進した。 さらに多数の論文や国際会議発表、大学院生の指導育成など学問的貢献も大きい。 基礎科学部門の受賞記事です 優秀賞透過的データ圧縮法の開発 国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授 定兼 邦彦(サダカネ クニヒコ)氏 授賞理由 従来のデータ圧縮法に存在した2つのトレードオフ、圧縮率と復元速度に対して新たな提案を行い、データを圧縮したまま解凍せずに高速処理できるよう構造化する技術を開発した。具体的にはデータ列をその圧縮率の限界であるエントロピーまで圧縮しつつ、圧縮データの任意箇所の1ワードを定数時間で復元する透過的データ圧縮法を開発した。これにより、ゲノム配列に用いられるデータ構造を従来比10分の1に圧縮することにも成功し、ヒトゲノム解析にも寄与した。この透過的データ圧縮法は、情報爆発時代における大規模大量データ処理の飛躍的高速化を実現した技術として世界中の研究者に衝撃を与え、国際学術論文の引用も多い。 また、文部科学大臣若手科学者賞、IBM科学賞、船井情報科学奨励賞を受賞するなど学問的貢献も大きい。 社会科学部門の受賞記事です 優秀賞情報通信法に関する研究~通信と放送の融合をめぐる法的枠組みの探求と提言~ 株式会社情報通信総合研究所 主席研究員 小向 太郎(コムカイ タロウ)氏 授賞理由 1990年代後半からデジタル・ネットワークの急速な発展・普及により、通信と放送をめぐる技術的前提が大きく変貌し、従来別個の法制度とされてきた問題に早急な整備・再体系化が要請されていた。本研究では、自由を制約する規制を最小限にしつつ、通信と放送のよりよき協同と新しい秩序を実現するために、体系的にバランスのとれた見識と関連課題への対方法をも併せて提案している。 また、情報流通に関する法的問題を広範に捉えており、着眼点、問題意識に加えて膨大な調査分析と提言が盛り込まれている。 さらに総合的法体系の可能性を示したのみならず、放送と通信の融合が進むなか、新しい方向性とより有効な対処法を示唆的、制度的枠組みで提案している。 前へ 次へ
優秀賞情報通信法に関する研究
~通信と放送の融合をめぐる法的枠組みの探求と提言~
小向 太郎(コムカイ タロウ)氏
授賞理由
1990年代後半からデジタル・ネットワークの急速な発展・普及により、通信と放送をめぐる技術的前提が大きく変貌し、従来別個の法制度とされてきた問題に早急な整備・再体系化が要請されていた。本研究では、自由を制約する規制を最小限にしつつ、通信と放送のよりよき協同と新しい秩序を実現するために、体系的にバランスのとれた見識と関連課題への対方法をも併せて提案している。
また、情報流通に関する法的問題を広範に捉えており、着眼点、問題意識に加えて膨大な調査分析と提言が盛り込まれている。
さらに総合的法体系の可能性を示したのみならず、放送と通信の融合が進むなか、新しい方向性とより有効な対処法を示唆的、制度的枠組みで提案している。