2019年10月18日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて第18回ドコモ・モバイル・サイエンス賞の授賞式を開催しました。
先端技術、基礎科学、社会科学の三部門で25件の応募があり、選考委員会(選考委員長:東京大学名誉教授・羽鳥光俊氏)での厳正かつ公平な審査の結果、「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」で優秀賞各1件で3名が受賞しました。
授賞式には、文部科学省 大臣官房審議官(研究開発担当)千原由幸様、NTTドコモ代表取締役社長 吉澤和弘様をはじめ、多くのご来賓にご出席いただきました。
優秀賞社会活動の理論的研究およびそれへのスーパーコンピュータの応用
授賞理由
村瀬氏は、複雑な社会モデルの解析に関して、マシンラーニングやスーパーコンピュータを活用する事例を示した。集団分極化や社会的ジレンマといった社会科学的課題に対する、膨大なデータを用いた数理モデルの構築と精緻化によるアプローチは、社会シミュレーションの新たな地平を拓いている点で顕著な業績と言える。人間関係のダイナミズムを現象論的にモデル化する一方、公共財ゲームの協力戦略といったゲーム理論的な研究にも精力的に取り組み、今後の国際社会のありようにも一石を投じるものと考えられる。
意見の先鋭化や社会の分断化が加速する現代社会において、従来とは異なる視点による理論と実証による融合研究は、集団の多様性の創出・維持・管理に関する有益な知見を与えるとともに、社会学研究におけるスーパーコンピュータ応用の可能性を高めるものとして評価できる。
受賞の言葉
人間関係のネットワークの分断や社会的ジレンマといった社会科学的な課題に対して、数理モデルを用いた理論的な解析を行ってきた。膨大なデータに基づいたモデル構築だけでなく、計算科学的な手法の独自性をご評価いただいた。今後さらに社会学的な問題におけるスーパーコンピュータの応用を開拓していきたい。