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ドコモ・モバイル・サイエンス賞

移動通信・情報通信の研究開発等の業績に対する褒賞事業

Winner / Ceremony

第18回(2019年)

第18回ドコモ・モバイル・サイエンス賞 授賞式

2019年10月18日、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて第18回ドコモ・モバイル・サイエンス賞の授賞式を開催しました。

先端技術、基礎科学、社会科学の三部門で25件の応募があり、選考委員会(選考委員長:東京大学名誉教授・羽鳥光俊氏)での厳正かつ公平な審査の結果、「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」で優秀賞各1件で3名が受賞しました。

授賞式には、文部科学省 大臣官房審議官(研究開発担当)千原由幸様、NTTドコモ代表取締役社長 吉澤和弘様をはじめ、多くのご来賓にご出席いただきました。

先端技術部門の受賞記事です

優秀賞CMOS集積回路による超高速ミリ波無線機の研究開発

東京工業大学 工学院 電気電子系 教授
岡田 健一(オカダ ケンイチ)氏

授賞理由

岡田氏は、従来CMOS回路の無線機の未踏領域であったミリ波帯において、世界初のダイレクトコンバージョン方式により16QAMの無線通信を実現した後、64QAMによる50Gbpsへと高速化を実現させた。さらに70-105GHz帯において世界最高伝送速度となる120Gbpsを達成した。

モバイル端末等の急速な普及により、無線通信は現代社会を支える根幹技術の一つとなっている。岡田氏の研究業績は、高周波数帯を用いた無線機における、超高速伝送のみならず、小型化・低消費電力化にも大きく寄与し、5G無線技術の実現ならびにBeyond 5Gへの貢献が期待される。

受賞の言葉

岡田 健一氏
東京工業大学工学院電気電子系 教授岡田 健一(オカダ ケンイチ)氏

大量生産が可能なCMOS集積回路技術により、ミリ波帯無線機を構築する設計技術を確立し、実証実験において120Gbpsの無線通信速度を達成した。ミリ波の利活用は、第5世代移動通信システム(5G)や、その先のBeyond 5G技術等の将来の無線通信技術を支えていくキーテクノロジーである。

基礎科学部門の受賞記事です

優秀賞移動通信電源用フッ化物イオンシャトル二次電池の反応開発

京都大学 産官学連携本部 特定准教授
湊 丈俊(ミナト タケトシ)氏

授賞理由

湊氏は、リチウムイオン電池を大きく超える高エネルギー密度が期待できるフッ化物イオンシャトル二次電池の充放電可能な電極反応を有機電解液によって世界で初めて実証した。さらに、X線回折、X線吸収分光法、光電子分光法、電子顕微鏡などによって反応機構を解析し、電解液の組成制御によって性能劣化を防ぎ、サイクル特性を向上させる方法を開発した。

二次電池は、電気自動車や移動通信デバイス等の成長産業における日本経済のキーデバイスとして、近年高い注目を浴びている。湊氏の研究業績は、IoT時代において今後ますます重要になると考えられ、移動通信機器の小型化・長時間駆動など、革新的な応用が期待される。さらなる研究進展により、高性能かつ低コストな二次電池が実現すれば、社会インフラの概念が大きく変わるインパクトがある。

受賞の言葉

湊 丈俊氏
京都大学・産官学連携本部 特定准教授湊 丈俊(ミナト タケトシ)氏

仙台で体験した東日本大震災によりエネルギー変換技術の研究を志した。フッ化物イオンの電解液中のシャトルによって、電極のフッ化/脱フッ化反応を進行させ、高エネルギー密度を有する新しい二次電池の研究を評価していただき、大変嬉しく思っている。本成果は、小西宏明氏(研究時:京都大学、現在:株式会社日立製作所)、小久見善八特任教授(京都大学)、安部武志教授(京都大学)との共同研究の成果である。

社会科学部門の受賞記事です

優秀賞社会活動の理論的研究およびそれへのスーパーコンピュータの応用

理化学研究所 計算科学研究センター 研究員
村瀬 洋介(ムラセ ヨウスケ)氏

授賞理由

村瀬氏は、複雑な社会モデルの解析に関して、マシンラーニングやスーパーコンピュータを活用する事例を示した。集団分極化や社会的ジレンマといった社会科学的課題に対する、膨大なデータを用いた数理モデルの構築と精緻化によるアプローチは、社会シミュレーションの新たな地平を拓いている点で顕著な業績と言える。人間関係のダイナミズムを現象論的にモデル化する一方、公共財ゲームの協力戦略といったゲーム理論的な研究にも精力的に取り組み、今後の国際社会のありようにも一石を投じるものと考えられる。

意見の先鋭化や社会の分断化が加速する現代社会において、従来とは異なる視点による理論と実証による融合研究は、集団の多様性の創出・維持・管理に関する有益な知見を与えるとともに、社会学研究におけるスーパーコンピュータ応用の可能性を高めるものとして評価できる。

受賞の言葉

村瀬 洋介氏
理化学研究所 計算科学研究センター 研究員村瀬 洋介(ムラセ ヨウスケ)氏

人間関係のネットワークの分断や社会的ジレンマといった社会科学的な課題に対して、数理モデルを用いた理論的な解析を行ってきた。膨大なデータに基づいたモデル構築だけでなく、計算科学的な手法の独自性をご評価いただいた。今後さらに社会学的な問題におけるスーパーコンピュータの応用を開拓していきたい。

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